本記事は、本メディアの記者がSXSW2025のセッション「The Startup and VC Landscape of Texas」に参加し、内容をまとめたものです。
※公式の発表とは異なる点がある場合がありますので、ご了承ください。
2025年3月7日14時から Hilton Austin Downtown Favorite Salon Kで実施されたセッションです。
旅行テック企業 point.me のCEO、グローバルVC MoreThan Capital の共同創業者、Citi Ventures のパートナー、The Points Guy の創設者、そして Microsoft の幹部が参加してFinTech、旅行ブランド、メディアがどのようにリワードを本当の「体験型通貨」へと進化させているのか、体験型経済における次の投資トレンドについて議論していました。
ポイント・ロイヤルティプログラムの重要性と現状
🔹 企業にとっての大きな成長ドライバー
航空会社をはじめ、ロイヤルティプログラムは重要な収益源。コロナ禍では多くの航空会社がロイヤルティプログラムを担保に資金調達を行い、倒産を回避した例がある。
🔹 クレジットカード会社の台頭
従来の航空会社のマイルよりも、クレジットカード各社が提供するポイントプログラムの柔軟性(提携先の豊富さ)が評価される傾向にあり、消費者の間で人気が高い。
🔹 ポイントは大きな“通貨”
毎年発行されるポイント・マイルの総額は膨大。しかし、その多くが活用されずに埋もれている。ポイントには高い交換価値を引き出す方法があるにもかかわらず、複雑さがボトルネックとなっている。
テクノロジーの進化とロイヤルティプログラム
🔹 AIの活用
AIによるレコメンデーションやパーソナライズが進むことで、消費者が自分に合った最適なポイントの使い方を瞬時に把握できるようになる。
例:旅行検索で複数の航空会社・ホテルのポイントを一括比較し、最適な交換レートを提案するサービスなど。
🔹 ブロックチェーン技術
透明性・セキュリティ・効率性の面で注目されており、将来的にはポイントの分散管理やより多様な交換形態が可能になると期待されている。
今後の課題:規制と持続性
🔹 規制リスク(クレジットカード競争法)
米国では、クレジットカードの高いインターチェンジ手数料を抑制しようとする法案が検討されている。この法案によりクレジットカードを使ったポイント還元が縮小すると、ロイヤルティプログラム全体が大きな打撃を受ける可能性がある。
🔹 デバリュエーション(ポイント価値の切り下げ)
航空会社やホテルがポイントの必要数を頻繁に引き上げることで、消費者が得られる実質的な価値が下がる懸念がある。企業側が安易に切り下げを繰り返すと、ロイヤルティプログラム自体が魅力を失いかねない。
🔹 健全な利用と金融リテラシー
ポイント還元を目的にクレジットカードを使いすぎると、高金利の支払いで逆に損をするリスクもある。支払いの遅延や債務超過を防ぐためにも、利用者の金融リテラシーが重要。
まとめ
🔹 ロイヤルティプログラムは単なるマーケティング施策ではなく、企業収益の大きな柱になっている。
🔹 消費者は複雑化するポイントの仕組みをAIや新サービスで活用し、より多くの価値を得ることが可能となる。
🔹 今後の鍵は、規制の動向やテクノロジーの進化を注視しつつ、企業がロイヤルティプログラムの持続的価値をいかに維持・向上していくかにかかっている。
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