近年、テレワークやハイブリッドワークなど多様な働き方が普及し、企業のファイル保管や共有方法も大きく変化しています。従来の社内ファイルサーバーやNASではなく、クラウドストレージを利用するケースが増え、特に中小企業でも導入が進んでいます。
本記事では、クラウドストレージの概要や導入メリット、選定のポイントを解説したうえで、複数の法人向けクラウドストレージサービスを比較・紹介します。各サービスの特徴、料金、セキュリティ、サポート体制などをまとめ、最適なクラウドストレージを選ぶヒントとしてご活用ください。
📌 大容量ファイルを安全に共有したい
📌 社内外からどこでもデータにアクセスしたい
📌 強固なセキュリティで情報漏えいを防ぎたい
といったニーズをお持ちの企業の皆さまに、本記事がサービス選定の一助となれば幸いです。
クラウドストレージとは?
クラウドストレージとは、インターネット上にデータを保存できるサービスです。
従来はパソコンや外付けハードディスクなどにデータを保管するのが一般的でしたが、クラウドストレージを利用すれば「インターネット環境があればどこからでも」アクセスできるようになります。
クラウドストレージには、主に以下のような特徴があります。
✅ バックアップが容易
デバイスが故障してもクラウド上にデータが残るため、データ消失のリスクが低い。
✅ 複数人での共有が可能
大容量のファイルを複数メンバーで同時に編集・確認できる。
✅ 柔軟な容量拡張
必要に応じてストレージ容量を増やせる。
また、資料や写真・動画のバックアップ、文書の保存やチームでの共同作業など、さまざまな用途で活用され、リモートワークの普及に伴い需要が急速に拡大しています。
ファイル転送サービスと恒常的なストレージサービス
「クラウドストレージ」という言葉に馴染みがなくても、多くの方が日々の業務でファイル転送サービスを利用しているのではないでしょうか。ここでは、ファイル転送サービスと恒常的なストレージサービスの違いについて解説します。
ファイル転送サービスの特徴
✅ 大容量ファイルを安全に送信
メール添付で送れないサイズ(25MB以上)のファイルをクラウドで共有リンク化し、パスワード保護や有効期限付きで送受信できる。
✅ 一時的な利用が中心
ファイルの送信・受信が完了すれば役目を終えるため、長期間の保存よりも「セキュアに大容量を届ける」ことがメイン。
恒常的なストレージサービスの特徴
✅ データを長期的に管理・共有
社内ファイルサーバーの代替として、クラウド上でアクセス権を設定し、フォルダ・ファイルを組織管理する。
✅ バージョン管理やバックアップにも対応
ファイルの過去バージョンを復元したり、自動バックアップでセキュリティリスクを軽減できる。
企業がクラウドストレージやファイル転送サービスを選ぶ際は、自社の目的に応じた適切なサービスを選定することが重要です。例えば、外部との大容量ファイルのやりとりが頻繁に発生する企業では、ファイル転送サービスを優先的に活用すると効率的です。一方で、社内データの長期保存やバックアップを重視する企業にとっては、恒常的なストレージサービスが適しています。
また、両方のニーズを持つ企業は、ファイル転送サービスと恒常的なストレージサービスを併用するのが理想的です。適切なツールの選択により、業務の効率化とデータ管理の最適化を実現できます。
クラウドストレージの仕組み「インターネット上の倉庫
クラウドストレージは、インターネット上にデータを保存できるサービスです。パソコンやスマートフォンの「ローカルストレージ」(本体の保存領域)とは異なり、クラウドストレージではデータが「遠くにあるデータセンター」(巨大な倉庫)に保存されます。
1️⃣ データのアップロード
ユーザーがパソコンやスマホからサービスにファイルをアップロードすると、クラウド事業者のデータセンターに保存される。
2️⃣データの冗長化・暗号化
データセンターは複数のサーバーにファイルを分散して保存(バックアップ)し、外部からの不正アクセスに備え暗号化を行う。
3️⃣ どこからでもアクセス可能
ネット環境さえあれば、PC・スマホ・タブレットなどどのデバイスからでもファイルを閲覧・編集できる。
クラウドストレージ導入のメリット
クラウドストレージを導入すると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。主な利点を以下にまとめました。
✅ 柔軟なストレージ拡張と自動バックアップ
必要に応じてストレージ容量を簡単に増やせるうえ、自動バックアップ機能によりデータを安全に保管できます。
✅ 情報共有のスピード向上
オフィス・自宅・外出先を問わず、最新ファイルに即座にアクセスでき、業務の効率が大幅に向上します。
✅ セキュリティリスクの軽減
紛失しやすいUSBメモリなどの物理的媒体を使わず、安全に大容量ファイルをやり取りできるため、情報漏えいのリスクを抑えられます。
✅ テレワーク・ハイブリッドワークに最適
オンラインでのファイル閲覧・編集やクラウド上での共同作業が可能なため、リモート環境でもスムーズに業務を進められます。
✅ コスト削減
社内サーバーやNASの運用・ハードウェア更新が不要となり、初期投資や保守費を大幅に削減できます。
クラウドストレージ導入時の注意点
クラウドストレージを導入する際は、その利便性だけでなく、注意すべき点も理解しておくことが重要です。スムーズな運用のために、事前に確認しておきたいポイントを整理しました。
✅ ネット接続が必須
クラウドサービスはインターネット環境が前提となるため、オフラインではアクセスできません。業務内容によっては、ローカル保存などの代替手段を用意しておくと安心です。
✅ セキュリティ対策の徹底
IDやパスワードの適切な管理、アクセス制限の設定が不十分だと情報漏えいのリスクが高まります。企業利用では、二段階認証や権限管理の導入が推奨されます。特に、以下のポイントを確認しましょう。
📍データ暗号化の有無
📍アクセス権限の細分化
📍多要素認証の設定
📍ログ管理やIPアドレス制限の適用
✅ コストを把握する
無料プランには容量制限があり、大量のデータを扱う業務ではすぐに上限に達する可能性があります。有料プランの料金体系を確認し、以下の点を考慮して選択しましょう。
📍ユーザー数やストレージ容量に応じた月額・年額費用
📍将来的な利用拡大に伴う追加費用
✅ 既存システムとの連携
導入するクラウドストレージが、社内で使用している業務ツールとスムーズに連携できるかを確認することが重要です。特に、以下のツールとの親和性をチェックしましょう。
📍Microsoft 365、Google Workspace
📍Salesforce、Slackなどの業務ツール
✅ バックアップとデータ復旧対策
データの誤削除や障害発生時に備え、バックアップや復旧ポリシーを事前に確認しておくことが大切です。
📍自動バックアップ機能の有無
📍誤削除時の復元ポリシー
📍障害発生時の復旧時間
✅ 社内ルールの整備と教育
安全にクラウドストレージを活用するため、社内の運用ルールを明確にし、社員のITリテラシー向上を図ることが重要です。
📍外部共有時のパスワード必須化などの運用ルール策定
📍社員向けの研修やマニュアル整備
導入前にこれらのポイントを確認し、適切な運用体制を整えることで、クラウドストレージの利便性を最大限に活かせます。
法人向けクラウドストレージサービスの特徴
法人向けサービスは、個人向けのサービスと比べて、セキュリティ機能や管理機能がより強化されています。主に以下のような特徴があります。
✅アクセス管理
社員ごとに「閲覧のみ」「編集可能」など細かく権限設定ができる。
✅バージョン管理・履歴ログ
過去の編集履歴や削除履歴が残り、誤操作・不正操作があってもリカバリー可能。
✅二要素認証(MFA)
パスワードに加えスマホ認証などを行うことで不正ログインを防ぐ。
✅高度なセキュリティ
データ通信や保存時の暗号化、ウイルススキャン機能などが充実。
✅バックアップ・冗長化
データセンター側で自動的に複数コピーを保管し、障害対策を行う。
📌ポイント:導入の際は、こうした機能やサポート体制を確認し、自社の運用要件と合うかどうかをチェックすることが重要です。
おすすめクラウドストレージサービス比較
ここからは、代表的なクラウドストレージサービス10社を取り上げ、特徴や料金プランを簡単に紹介します。自社のニーズに合わせて比較検討してみてください。
1. Googleドライブ
Googleが提供するクラウドストレージ。個人・法人向けともに幅広いプランがあり、Google Workspace(旧 G Suite)と連携した共同編集が強み。
特徴
🔹Google ドキュメント、スプレッドシート、スライドなどとのリアルタイム編集が便利
🔹無料で15GBまで利用可能
🔹ビジネス向けは「Google Workspace」のプランで最大5TB以上に拡張可能
🔹AIを活用した検索・要約機能も進化中
料金プラン例 (1ユーザー/月)
プラン | ストレージ | 価格 | 主な特徴 |
Starter | 30GB | ¥800 | 基本AI機能 |
Standard | 2TB | ¥1,600 | 高度な共同編集 |
Plus | 5TB | ¥2,500 | 強化されたAI機能 |
Enterprise | 5TB以上 | 要問い合わせ | セキュリティ・サポート充実 |
こんな企業におすすめ
🎯 Google Workspaceを導入している
🎯 リアルタイム共同編集やモバイル活用を重視している
🎯 比較的低コストで導入したい
2. Dropbox
ファイル同期サービスの草分け的存在で、シンプルな操作性と安定した同期速度が魅力。Windows、Mac、スマホから手軽に使え、バックアップや共有機能が充実。
特徴
🔹どのデバイスからも同じ操作感で利用できる
🔹誤って削除しても最大180日間復元可能(上位プラン)
🔹オフラインアクセス、遠隔デバイス削除などのセキュリティ機能
料金プラン例
プラン | ストレージ | 料金(1ユーザー月額) | 特徴 |
Basic(無料) | 2GB | 0円 | 個人向け試用 |
Plus | 2TB | ¥1,200前後 | 個人利用で大容量 |
Business | 9TB~ | ¥1,500前後 | チーム利用向け |
Business Plus | 15TB~ | ¥2,400前後 | 強化セキュリティ |
こんな企業におすすめ
🎯 外部とのファイル共有が多い
🎯 リモートワークやプロジェクトベースでの作業が中心
🎯 シンプル操作&安定した同期スピードを求める
3. OneDrive
Microsoftが提供するクラウドストレージ。Windowsとの相性が抜群で、Microsoft 365(旧 Office 365)との連携が非常にスムーズ。
特徴
🔹Windows 10/11に標準搭載で使いやすい
🔹無料で5GBまで利用可能
🔹Microsoft 365を契約すると1TB以上に拡張
🔹Word、Excel、PowerPointとのリアルタイム共同編集が便利
料金プラン例
プラン | ストレージ | 料金(個人向け月額) | 特徴 |
無料プラン | 5GB | 0円 | お試し利用に |
Microsoft 365 Personal | 1TB | ¥1,490 | Officeアプリがフル機能 |
OneDrive for Business | 1TB | ¥630(法人) | 企業向けセキュリティ機能あり |
こんな企業におすすめ
🎯Windows環境がメイン
🎯Officeアプリを多用
🎯Microsoft 365導入済み、または検討中
4. Box(株式会社Box Japan)
世界的に有名なエンタープライズ向けクラウドストレージ。無制限ストレージ・強力な外部アプリ連携・高いセキュリティ認証が特徴。
特徴
🔹Microsoft 365、Google Workspace、Slack、Salesforceなど主要SaaS連携
🔹SOC 1、SOC 2、SOC 3、HIPAA、FedRAMPなど様々な規格に準拠
🔹無制限ストレージプランが標準で、大容量ファイルでも安心
料金プラン(税別・月額/ユーザー)例
プラン | ストレージ | 1ファイル上限 | 月額費用 | 最少ユーザー数 |
Business | 無制限 | 5GB | ¥1,881 | 3名 |
Business Plus | 無制限 | 15GB | ¥3,135 | 3名 |
Enterprise | 無制限 | 50GB | ¥4,620 | 3名 |
こんな企業におすすめ
🎯グローバル展開や厳格なセキュリティ基準が必要
🎯API連携で自社システムと統合したい
🎯大手企業・官公庁など厳しい監査基準をクリアしたい
5. セキュアSAMBA(株式会社kubellストレージ)
SaaS型の法人向けクラウドストレージとして3年連続シェアNo.1(同社調べ)。操作が簡単で導入しやすく、8,000社以上が利用。
特徴
🔹NASやファイルサーバー感覚で使える直感的UI
🔹バージョン管理(10世代分)で誤削除や上書きを防止
🔹AWS上で運用し、セキュリティ対策にも配慮している
料金プラン(税抜)
プラン | 月額費用 | ユーザー数 | 容量 | サポート |
スモール | ¥15,000 | 50名 | 100GB | 電話+メール |
スタンダード | ¥25,000 | 無制限 | 300GB | 電話+メール |
ビジネス | ¥35,000 | 無制限 | 500GB | 電話+メール |
こんな企業におすすめ
🎯操作が分かりやすく、短期間で導入したい
🎯多人数で利用するためユーザー数無制限が良い
🎯「メール添付の代わりに安全なファイル共有」をしたい
6. Documal-Drive SaaS(株式会社富士通四国インフォテック)
富士通グループの厳格なセキュリティ基準をクリアした法人向けクラウドストレージ。電子帳簿保存法の対応(JIIMA認証)も強み。
特徴
🔹ファイルロック機能で同時編集競合を防止
🔹外部ユーザーにもアカウント登録を必須とし、セキュアな共有を実現
🔹JIIMA認証取得により電子帳簿保存法要件を満たす
こんな企業におすすめ
🎯電子帳簿保存法に対応が必要な業界(経理書類管理など)
🎯富士通ブランドのセキュリティを重視
🎯きめ細かいサポートがほしい
7. 3Qクラウド クラウドストレージパック(株式会社リューズ)
「Quick」「Quality」「Quiet Price」の3Qを掲げ、企業のITインフラ全般をワンストップで支援するクラウドサービス。
特徴
🔹ウイルス対策やファイアウォールなどセキュリティを一括管理
🔹VPN接続や遠隔アクセスなどでテレワーク環境を整備
🔹エンジニアによる導入サポートが手厚く、IT担当者が不足している企業でも安心
料金プラン(例)
プラン名 | 月額費用 | 初期導入費用 | 特徴 |
クラウドファイルサーバ | 32,450円~ | 100,000円 | AD管理対応、500GB~10TBまで選択可能 |
クラウドストレージ | 22,000円~ | 50,000円 | 容量課金型、外部共有URL発行など一般機能を網羅 |
ファイルサーバ(NAS) | 5,500円~ | 373,000円~ | 社内設置NAS+クラウドバックアップにも対応 |
PCバックアップ(NAS) | 11,000円~ | 373,000円~ | 社員PCのデータを定期的にNASへ自動バックアップ |
詳細プラン・料金は要問い合わせ
こんな企業におすすめ
🎯セキュリティやネットワーク環境ごと刷新したい
🎯専任のIT担当がいない、または少ない
🎯社内のIT課題をまとめて解決したい
8. 使えるファイル箱(使えるねっと株式会社)
ユーザー数無制限が魅力のクラウドストレージサービスで、コストパフォーマンスに優れる。シンプルな操作感で導入しやすい。
特徴
🔹WindowsのエクスプローラーやMacのFinder感覚で利用
🔹1TBプランが月額21,230円(税込)~と比較的リーズナブル
🔹30日間の無料トライアルあり、最短即日導入可能
料金プラン(税込)
プラン名 | 月額費用 | 容量 | ユーザー数 | 主な機能 |
スタンダード | 21,230円~ | 1TB | 無制限 | MS Officeオンライン連携、IPアドレス制限、WebDAV連携など |
アドバンス | 60,500円~ | 3TB | 無制限 | スタンダードプランの機能+追加セキュリティ機能 |
1TB追加ごとに月額8,580円(税込)で容量拡張可能
30日間無料トライアルあり
こんな企業におすすめ
🎯多数のユーザーを一括管理したい
🎯とにかく安価に大容量を確保したい
🎯操作が簡単・短期間導入を希望
9. GigaCC ASP(日本ワムネット株式会社)
2002年から提供されている法人向けクラウドストレージ。大容量ファイル送受信や脱PPAPのファイル転送機能が充実。
特徴
🔹国産クラウドで開発・運用・サポート・保管を国内完結
🔹パスワード必須や期限付きURL、ワークフロー承認などセキュリティ対策が豊富
🔹管理者向け機能(ログ管理、自動削除設定など)でコンプライアンスを強化
料金プラン(税別)
プラン | 月額費用(10ID~) | 主な機能 |
STANDARD | 12,000円~ | 基本的なファイル共有・送信機能 |
ADVANCED | STANDARD + 25,000円 | セキュリティポリシーに応じた詳細設定が可能 |
PREMIUM | STANDARD + 42,000円 | さらなる高度なセキュリティ・制御機能を追加 |
初期費用:50,000円
30日間無料トライアルあり
最短3営業日で導入可能
こんな企業におすすめ
🎯大容量ファイルを安全にやりとりしたい
🎯コンプライアンス・監査対応が求められる
🎯国産サービス・日本語サポートを重視
10. SHARERN(シェアルン)(日本ワムネット株式会社)
同社のGigaCCのノウハウを活かしたハイブリッドワーク対応のクラウドストレージ。オンプレミス型ファイルサーバーからの移行にも適した設計。
特徴
🔹リモートワークとオフィス勤務を両立できる高セキュリティ環境
🔹大容量プランが標準(3TB〜)
🔹100ユーザーから利用可能で、ユーザー追加も柔軟
料金プラン(税別・例)
プラン | ストレージ容量 | ユーザー数 | 初期費用 | 月額費用 | 最低契約期間 |
基本プラン | 3TB | 100ユーザー | 50,000円 | 85,000円 | 12か月 |
追加ID (50ユーザー) | – | +50ユーザー | – | 10,000円 | – |
その他プラン:要お問い合わせ
こんな企業におすすめ
🎯オンプレミスサーバーを廃止しクラウド化したい
🎯ハイブリッドワークを推進しており大容量運用が必要
🎯国産セキュリティ+充実サポートに魅力を感じる
クラウドストレージサービス比較表
各社サービスを比較表にまとめました。参考になれば幸いです。
サービス | 料金プラン例 | ストレージ目安 | セキュリティ・特徴 | 主な連携 |
Googleドライブ | Starter: ¥800〜
Enterprise: 要問合せ |
30GB〜無制限 | AI活用、ドキュメント共同編集 | Gmail、Google Workspace |
Dropbox | Business: ¥1,500/ユーザー〜 | 9TB〜15TB+ | シンプルUI、ファイル復元、外部共有が容易 | Office 365、Zoom、Slack |
OneDrive | Microsoft 365 Personal: ¥1,490 | 1TB〜 | Windows標準搭載、Officeとの連携が強力 | Office(Word/Excel/PowerPoint) |
Box | Business: ¥1,881/ユーザー〜 | 無制限 | 大手導入実績多、API連携豊富、セキュリティ強固 | Microsoft 365、Google Workspace、Slack ほか多数 |
セキュアSAMBA | スタンダード: ¥25,000/月 | 300GB(ユーザー無制限) | 簡単操作、AWS上で強固なセキュリティ | 特定ツール連携よりも「NAS感覚」のシンプル操作が強み |
Documal-Drive SaaS | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 富士通基準のセキュリティ、JIIMA認証で電子帳簿対応 | – |
3Qクラウド | クラウドストレージ: ¥22,000〜 | 容量課金型 | ITインフラ全般をワンストップでサポート | Microsoft 365、各種ウイルス対策・VPNなど |
使えるファイル箱 | 1TB: ¥21,230/月〜 | 1TB〜(ユーザー無制限) | コスパ◎、即導入可能、操作がシンプル | – |
GigaCC ASP | STANDARD: ¥12,000/月(10ID〜) | 容量オプション | 国産、脱PPAPに最適、管理者向け機能充実 | 独自送受信システム |
SHARERN | 3TB: ¥85,000/月(100ユーザー〜) | 3TB〜 | ハイブリッドワーク向け、高いセキュリティ | – |
※上記費用はあくまで目安です。各サービスによってはプラン改定・追加料金等が発生する場合があります。正式な導入費用は、各社サイトやお問い合わせでご確認ください。
オンプレミスからクラウドストレージへ|ハイブリッドクラウド の導入
近年、多くの企業がオンプレミス環境からクラウドストレージへと移行を進めています。その背景には、上述したようなコスト削減、運用管理の効率化、拡張性の向上といった多くのメリットがあるためです。
オンプレミスストレージは、高いセキュリティと高速なデータアクセスが可能な一方で、設備の導入・維持にかかるコストが大きく、管理の負担も企業側にのしかかります。特に、企業が成長しデータ量が増加するにつれて、サーバーの増設やバックアップ対策などが必要となり、物理的な制約が拡張性を妨げる要因となることがあります。
一方、クラウドストレージは、柔軟なスケーラビリティを備えており、必要に応じてストレージ容量を増減できる点が大きな利点です。さらに、クラウドプロバイダーがシステムの運用・保守を行うため、企業はインフラ管理の負担を軽減し、本来の業務に集中することができます。また、災害時のデータ損失リスクを低減できる点も、クラウドストレージの大きな強みの一つです。
加えて、リモートワークの普及に伴い、企業は地理的な制約を超えてデータを安全に管理・共有する必要性が高まっています。クラウドストレージはインターネットを介してどこからでもアクセス可能なため、従業員や外部パートナーとのスムーズなデータ共有が実現できます。さらに、最新のセキュリティ技術やアクセス制御機能を活用することで、データ保護を強化しつつ利便性を向上させることが可能です。
とはいえ、クラウドストレージには課題はあります。例えば、機密性の高いデータを外部プロバイダーに預けることへの懸念や、継続的な利用コストの管理が求められる点が挙げられます。そのため、多くの企業ではオンプレミスとクラウドを併用する ハイブリッドクラウド の導入が進んでいます。これにより、セキュリティを重視すべきデータはオンプレミスに、柔軟な運用が求められるデータはクラウドに保存するなど、用途に応じた最適な運用が可能となります。
オンプレミスからクラウドストレージへの移行は、単なる技術的な変更ではなく、企業のITインフラを最適化し、より柔軟で効率的なデータ運用を実現するための戦略的な決断です。クラウドの利便性とオンプレミスの強みを理解し、自社にとって最適な移行計画を立てることが、デジタル時代における競争力の向上につながるでしょう。
クラウドストレージを選ぶポイント
最後に、クラウドストレージを選ぶ際のポイントを整理しました。チェックリストとしてご活用ください。
📖ユーザー数と容量のバランス
📍「ユーザー数無制限」が良いのか、1ユーザーあたりの料金が良いのか
📍大容量(TB単位)が必要か、無制限プランが必要か
📖セキュリティ要件の確認
📍電子帳簿保存法・個人情報保護など法的要件への対応
📍SOCやISO、JIIMA認証などの取得状況
📖操作性(UI/UX)
📍NAS感覚でフォルダを扱えるか
📍ドラッグ&ドロップで簡単にファイルアップロード可能か
📖サポート体制
📍導入時に設定支援があるか
📍トラブル時の電話・メール・チャットサポート
📖他システムとの連携
📍Microsoft 365やGoogle Workspaceとの連動
📍SSO対応やAPI連携など、自社業務システムとの統合性
📖先進機能(AI・ワークフロー)
📍大量のドキュメント管理や検索にAIを活かしたいか
📍ワークフロー機能や承認フローが必要か
まとめ
中小企業がクラウドストレージを導入するメリットは、業務効率化・セキュリティ向上・柔軟な働き方への対応など多岐にわたります。一方で、セキュリティ対策・コスト管理・既存システム連携など、慎重に検討すべきポイントもあります。
✅ 導入前に整理すべきこと
📍 どんなファイルを、どのくらいの容量で扱うか
📍 社内のITリテラシーやセキュリティポリシー
📍 必要な連携システムや業務フロー
✅ 運用を成功させるポイント
📍 ルールの徹底(外部共有、アクセス権限、パスワード管理など)
📍 社員教育(使い方やセキュリティ意識)
📍 定期的なバックアップ体制の点検・改善
クラウドストレージを導入し、適切に運用することは、中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させる大きな一歩にもなります。ぜひ本記事の比較・検討ポイントを参考に、自社のニーズに合ったクラウドストレージを選んでみてください。柔軟なワークスタイルを支え、情報共有やセキュリティが強化されることで、企業全体の生産性が向上するはずです。ぜひ積極的に活用をご検討ください。