10年後の世界はどうなっている? 人口動態から予測する近未来と、日本企業・自治体が今準備すべきこと

編集部投稿者:

「10年後の世界はどうなっているのか?」

AI、宇宙開発、量子コンピュータなど未来を語るテーマは数多くあります。しかし実際には、未来を最も高い確率で予測できるデータがあります。

それが人口です。

2036年に生きている人の大半は、すでにこの世に生まれています。人口動態は、未来予測の中でも極めて精度が高い指標です。そして人口データを丁寧に読み込んでいくと、世界経済の重心、日本の地域社会、企業経営の前提条件が大きく変わることが見えてきます。

本記事では人口動態を起点として、10年後の世界経済・国別人口・平均年齢・日本社会・企業経営・自治体経営を順に整理しながら、2036年に向けて何を優先すべきかを考えます。


Contents
  1. 第1章 人口は未来予測で最も当たりやすい指標
  2. 第2章 10年後の世界人口はどうなるのか
  3. 第3章 2036年の人口ランキング予測
  4. 第4章 平均年齢から見える10年後の世界
  5. 第5章 GDPランキングはどう変わるのか
  6. 第6章 10年後の日本人口はどうなるのか
  7. 第7章 東京だけが成長するのか
  8. 第8章 10年後の自治体はどう変わるのか
  9. 第9章 10年後の企業経営はどう変わるのか
  10. 第10章 勝つ地域と衰退する地域の違い
  11. 第11章 2036年に向けて企業と自治体が優先すべきこと
  12. まとめ 「人口が減る未来」に合わせて今から変化した組織が勝つ

第1章 人口は未来予測で最も当たりやすい指標

なぜ人口予測は精度が高いのか

経済予測、技術予測、政治予測はどれも難しい領域です。それに対して人口予測は、中長期では他の予測手法と比較しても精度が高いことで知られています。

最大の理由はシンプルです。10年後の労働人口の大半は、すでにこの世に生まれているからです。

2036年に25〜34歳の現役世代として働いている人たちは、現時点では15〜24歳の若者です。2036年に65歳以上の高齢者として医療・介護を必要とする人たちは、今すでに55歳以上です。出生数は政策介入によっても短期間で急増することはなく、死亡数もある程度の予測範囲に収まります。

国連人口部門(UN DESA)は「世界人口展望(World Population Prospects)」として定期的に将来推計を公表しており、その精度は数十年スパンでも比較的高い水準を維持しています。(出典:UN Population Division, World Population Prospects 2024)

人口ピラミッドが未来を決める

人口ピラミッドは、その国の「今後10〜20年の縮図」と言っても過言ではありません。底辺が広ければ若年人口が豊富で経済成長余力があり、逆三角形に近づくほど高齢化・縮小経済に向かっていることを示します。

日本の人口ピラミッドはすでに上部が膨らんだ「つぼ型」を呈しており、このトレンドは今後10年で一層顕著になります。


第2章 10年後の世界人口はどうなるのか

世界人口の現在と2036年

国連の推計によれば、2025年時点の世界人口は約82億人です。(出典:UN DESA, World Population Prospects 2024)

90億人に到達するのは「2037年頃」と見込まれており、2036年時点の世界人口は約88〜89億人程度と推計されます。なお、国連WPP2024の推計では世界人口のピークは2084年頃の約103億人とされており、人口増加が数十年単位で続く見通しです。

増加の中心地はアフリカへ

人口増加の主役は、アジアからアフリカへと移行しています。今後の増加を牽引するのは以下の国々です。

  • インド(すでに世界最多、2060年頃まで増加が続く見通し)
  • ナイジェリア(高い出生率を背景に急成長)
  • パキスタン(南アジア第2位の人口大国)
  • エチオピア(2050年に向けて急拡大)
  • コンゴ民主共和国(年間3%超の成長率)

一方、減少を続ける国・地域もあります。

  • 日本(少子高齢化が深刻化)
  • 韓国(合計特殊出生率が0.7台と世界最低水準)
  • 中国(2022年から人口減少局面に転じており、今世紀末には現在の半数以下になるとの推計もある)
  • イタリア・スペイン(南欧の高齢化)
  • ドイツ(移民流入で一部補完されているが、自然減少が続く)

第3章 2036年の人口ランキング予測

トップ10の予測(2035年前後・国連推計準拠)

国連の世界人口展望(2024年改訂版)に基づくと、2035年頃の人口上位国は以下のように推計されます。(出典:UN DESA, World Population Prospects 2024)

  1. インド(約15.8億人)
  2. 中国(約13.7億人)
  3. 米国(約3.5億人)
  4. インドネシア(約3.0億人)
  5. パキスタン(約2.9億人)
  6. ナイジェリア(約2.7億人)
  7. ブラジル(約2.2億人)
  8. エチオピア(約1.7億人)
  9. バングラデシュ(約1.7億人)
  10. コンゴ民主共和国(約1.5億人)

なお、ロシアの人口は2025年時点ですでに約1.44億人程度であり、2035年時点ではエチオピア・コンゴDRに抜かれてトップ10圏外になる可能性が高い状況です。

読み取れるトレンド

このランキングから読み取れることは3点あります。まず中国の人口が急速に縮小に転じること。次に、ナイジェリアをはじめとするアフリカ諸国の存在感が急上昇すること。そして「かつての人口大国」であったロシア・日本・ドイツなどが上位から脱落していくことです。

国連は「2050年頃にはナイジェリアが米国を抜いて世界第3位になる」とも予測しており、アフリカの人口ウェイトは今後の世界経済・地政学を語る上で外せないファクターとなります。


第4章 平均年齢から見える10年後の世界

若い国と老いる国の分断

人口の絶対数と並んで重要なのが、平均年齢(中央値)です。平均年齢は労働力の豊富さ、消費パターン、社会保障の負担構造を規定します。

2035年頃の平均年齢が若い国の代表例は以下の通りです。

  • ナイジェリア(平均年齢:約18〜19歳)
  • エチオピア・コンゴDR(同:約20歳前後)
  • パキスタン・インド(同:25〜30歳程度)

一方、高齢化が顕著な国々を見ると次のようになります。

  • 日本(平均年齢:50歳超が目前)
  • 韓国・イタリア・スペイン(同:45〜50歳程度)
  • ドイツ・中国(同:40歳台後半)

高齢化率の高い国ほど、医療費の増大、社会保障負担の拡大、現役世代の労働力不足という三重苦に直面します。これは政府財政だけでなく、企業の採用環境・消費市場の縮小にも直結する問題です。


第5章 GDPランキングはどう変わるのか

インドの台頭と日本のポジション

人口規模はGDPの土台となります。GDP=人口×労働参加率×生産性という構造から見ると、人口が増え続けるインドの経済規模拡大は必然的な流れです。

IMF「世界経済見通し(World Economic Outlook, April 2025)」によれば、2025年時点でインドのGDPは日本を上回り、世界第4位(米国・中国・ドイツ・インドの順)に浮上しています。さらにIMFはインドが2028年頃にはドイツをも上回り、世界第3位になると予測しています。(出典:IMF World Economic Outlook April 2025 / NITI Aayog プレスリリース 2025年)

2036年頃のGDPランキングは、現時点での各機関の予測を総合すると以下のようなシナリオが有力です。

  1. 米国
  2. 中国
  3. インド
  4. ドイツ
  5. 日本

ただしドイツ・日本の4〜5位は拮抗しており、為替水準や生産性の伸び次第で順位は入れ替わる可能性があります。いずれにせよ「日本の次にインドが追い上げてくる」という構図は、すでに過去のシナリオです。インドはすでに追い抜いており、日本の比較対象はドイツへと移行しています。

順位よりも重要な構造問題

重要なのはランキングの順位ではなく、GDPを規定する構造です。人口減少国は生産性の向上なしに経済規模を維持することができません。AI・自動化・外国人材の活用は「選択肢」ではなく、経済的な必然です。


第6章 10年後の日本人口はどうなるのか

総人口の推移

国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の「日本の将来推計人口(令和5年推計)」によると、日本の総人口は2020年の約1億2,615万人から減少が続き、2036年頃には約1億2,000万人台前半の水準になると見込まれています。(出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」2023年)

なお、日本人人口(外国人を除く)はすでに減少が続いています。総人口が「1億1,000万人台」に達するのは、社人研の中位推計では2040年代以降の見通しです。

出生数の実態

出生数の動向は一段と厳しいものがあります。厚生労働省の統計によれば、2024年の出生数(確定数)は68万6,173人と、初めて70万人を割り込み、過去最少(9年連続減少)を更新しました。合計特殊出生率も1.15と過去最低を記録しています。2025年の速報値は70万5,809人(在留外国人等を含む)と、10年連続の減少となっています。(出典:厚生労働省「令和6年人口動態統計(確定数)」2025年9月公表、同「人口動態統計速報(令和7年12月分)」2026年2月公表)

社人研の中位推計では2036年時点で年間出生数が50万人台まで急減するシナリオは見込まれていませんが、出生率のさらなる低下が続けばこのシナリオが現実になるリスクもあり、今後の動向注視が必要です。

高齢化と現役世代の負担

総人口が緩やかに減少する一方で、75歳以上の後期高齢者人口は大幅に増加します。生産年齢人口(15〜64歳)は引き続き減少し、現役1人当たりが支える社会保障の負担はさらに重くなります。2036年時点の日本社会は、今よりも明確な「多高齢・少現役」の構造に移行しています。


第7章 東京だけが成長するのか

都道府県別人口予測の現実

社人研の「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」によれば、2035年時点においてはすべての都道府県で人口が減少します。東京都・沖縄県・愛知県・神奈川県などは「相対的に減少率が低い都府県」であり、増加または横ばいが続くわけではない点に注意が必要です。(出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」2023年)

2020年→2035年の人口減少率を比較すると、概ね以下のような傾向が見られます。

減少率が比較的小さい都府県(1〜6%台の減少):沖縄県、東京都、滋賀県、愛知県、神奈川県、埼玉県など

大幅な減少が見込まれる地域(15〜25%以上の減少):東北(秋田・青森・岩手)、北陸・山陰地方など

「消滅」ではなく「集約」が進む

地方の人口減少が進む中で起きているのは、地方が「消滅」するのではなく、居住地と経済活動が特定の中核エリアに「集約」されていくプロセスです。市町村レベルで見ると、機能を維持できなくなる自治体が増える一方で、県庁所在地や交通結節点に人口が集まる構造が強まります。


第8章 10年後の自治体はどう変わるのか

自治体が直面する5つの課題

人口減少は自治体経営に直接的な打撃を与えます。2036年に向けて自治体が直面する主要課題は次の5点です。

①行政職員不足 採用対象となる若年人口が減少する中で、自治体の人員確保はすでに困難になっています。2036年時点にはさらに深刻化します。

②税収の減少 住民税・固定資産税の基盤となる人口・不動産市場の縮小が、自治体財政を圧迫します。

③公共施設の維持困難 高度経済成長期に整備された施設が老朽化し、維持コストと利用者数が乖離します。

④上下水道の老朽化 人口密度の低下により、インフラの更新費用対効果が成立しないエリアが広がります。

⑤空き家の増加 空き家率はすでに高水準にあり、2036年にはさらに上昇することが確実視されています。

今後の自治体の重要テーマ

これらの課題に対応するため、自治体は主に次の4つの方向で取り組みを進めることになります。DXによる行政効率化、隣接自治体との広域連携、コンパクトシティへの誘導、公共施設の統廃合と再編です。


第9章 10年後の企業経営はどう変わるのか

最大の問題は「人手不足」ではなく「供給能力」

企業経営において、人口減少が引き起こす最大の問題は単純な「人手不足」という表現では捉えきれません。より本質的には「供給能力の構造的な劣化」です。

かつての企業経営の前提は「人を採用することで成長できる」というものでした。しかし2036年に向けた企業経営の前提は「人が採用できない中でどう成長するか」に変わります。

この転換に対応するために必要になるのは、AIと自動化による生産性向上、外国人材の本格的な活用、M&Aによる事業・人材の統合、後継者不在企業の事業承継対策、そして国内市場の縮小を補う海外市場の開拓です。

人口減少はコスト問題ではない

人口減少を「採用コストが上がる問題」として捉えている間は、本質的な対応にはなりません。それは「サービスを届けられる人員が物理的に存在しない」「製品を製造する技能者がいない」という供給能力そのものの問題です。コスト感覚ではなく、事業の成立可能性という観点から再設計が必要です。


第10章 勝つ地域と衰退する地域の違い

人口が流出する地域と集まる地域

同じ「人口減少社会」の中でも、相対的に活力を維持する地域とそうでない地域に明確な差が生まれています。活力を維持しやすい地域の共通点は、大学・医療機関・広域交通結節点・安定した雇用の4つが揃っていることです。

逆に衰退が加速する地域には、若者の流出が止まらない、雇用の選択肢が少ない、行政サービスが縮小されていく、という構造が見られます。

「人口減少」より「人口流出」が問題

重要な視点は、総人口の絶対的な減少よりも「人口流出」こそが地域衰退の直接要因だという点です。人口がゆっくり減っていく地域と、若年層が流出し高齢者だけが残る地域では、経済的活力は全く異なります。地域の産業集積と雇用の創出こそが、人口流出を止める根本的な処方箋です。


第11章 2036年に向けて企業と自治体が優先すべきこと

企業が今から着手すべき5つの優先事項

企業経営者・経営幹部が2036年を見据えて今から着手すべき優先事項を整理すると、以下の5点になります。

①AI・自動化の本格活用 生産性向上は選択肢ではなく、人口減少社会における成長の必要条件です。

②人材確保戦略の再設計 採用競争に勝つだけでなく、定着・育成・外国人材の本格受け入れを組み合わせたポートフォリオが求められます。

③事業承継対策 後継者不在の中小企業が増加する中、M&Aや第三者承継を活用した事業の引き継ぎは重要な成長機会にもなります。

④M&Aによる規模の維持 縮小市場の中でシェアを維持するには、競合との統合や周辺事業の取り込みが有効です。

⑤海外市場の開拓 国内市場の縮小を前提に、アジア・アフリカといった人口成長地域でのビジネス機会を取りに行く姿勢が問われます。

自治体が今から着手すべき5つの優先事項

自治体が優先すべきことも、同様に5点に整理できます。

①DXによる行政効率化 職員数が減っても行政サービスの質を維持するには、業務の自動化・デジタル化が急務です。

②コンパクトシティへの誘導 分散した居住地を中核エリアに集約することで、インフラ維持コストを抑えます。

③外国人材の受け入れ環境整備 生産年齢人口の減少を補う手段として、外国人材の定住・就労支援が求められます。

④産業集積の形成 雇用の場がなければ人口流出は止まりません。地域の強みを活かした産業集積の誘致・育成が重要です。

⑤インフラの再編 すべての施設・道路・水道を維持することは不可能になります。優先順位をつけた計画的な再編が必要です。


まとめ 「人口が減る未来」に合わせて今から変化した組織が勝つ

10年後の未来は、実はかなりの部分がすでに決まっています。2036年の働き手も、高齢者も、消費者も、その多くがすでにこの世に生まれているからです。

人口動態から見えてくる未来の輪郭は明確です。

世界の人口は2036年時点で約88〜89億人に達し(9億人到達は2037年頃)、増加の主役はインドとアフリカが担います。一方で日本・韓国・中国・南欧といった国々は人口減少・高齢化が深刻化します。経済規模ではインドがすでに日本を抜き去り(2025年時点で世界第4位)、2028年頃にはドイツをも追い越す見通しです。日本国内では、すべての都道府県で人口が減少し、出生数は68万人台(2024年確定数)と過去最少水準が続く中、企業と自治体は「縮小社会」に合わせた構造転換を迫られます。

重要なのは人口減少を嘆くことではありません。人口が減ることを前提に、企業や自治体の仕組みを再設計することです。

2036年に成功する組織は、「人口が増える未来」を待つ組織ではなく、「人口が減る未来」に合わせて今から変化した組織になるでしょう。


参考・出典

  • 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」(2023年)
  • 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」(2023年)
  • 厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況」(2025年9月公表)
  • 厚生労働省「人口動態統計速報(令和7年12月分)」(2026年2月公表)
  • UN DESA「World Population Prospects 2024」
  • IMF「World Economic Outlook, April 2025」
  • NITI Aayog プレスリリース「India surpasses Japan as world’s 4th largest economy」(2025年)
  • Morgan Stanley「India to become world’s 3rd largest economy by 2028」

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