日本で暮らす外国人は、2025年末時点で412万5,395人になりました。1年間の増加は35万6,418人、増加率は9.5%です。同じ1年間に、日本人の出生数は67万1,236人、死亡数は158万9,489人で、自然減は91万8,253人でした。

減る側と増える側の桁が近づいています。では、なぜ増えているのでしょうか。そして5年後、10年後にはどの水準になるのでしょうか。ここでは意見や賛否をいったん脇に置き、出入国在留管理庁、厚生労働省、総務省、国立社会保障・人口問題研究所などの公表データだけを使って、増加の理由と今後の見通しを整理します。
まず数字で現在地を確認する
「移民」という言葉の定義を先に揃える
この議論が噛み合わない最大の原因は、言葉の定義が統一されていないことです。日本政府は「いわゆる移民政策はとらない」という立場を続けており、ここでの「移民」を、入国の時点から永住を前提として受け入れる人、という限定的な意味で使ってきました。
一方、国連や経済協力開発機構(OECD)が国際比較で用いる統計上の定義は異なります。通常の居住地を1年以上変えた人を長期移民として数えるため、この定義では留学生も技能実習生も含まれます。同じ「移民」という単語が、日本国内の議論と国際統計とで別の範囲を指しているわけです。
定義の当否をここで争っても実務は動きません。そこで本記事では、出入国在留管理庁が公表する「在留外国人」の統計を使います。中長期在留者と特別永住者の合計であり、日本に住所を持って一定期間以上滞在している人の数です。呼び方が何であれ、地域と職場で実際に起きている変化はこの数字に表れます。

3年連続で年30万人台半ばの増加
在留外国人数は3年連続で、年33万人から36万人のペースで増えています。出入国在留管理庁によれば、2022年末は307万5,213人、2023年末は341万992人で、増加は33万5,779人でした。2024年末には376万8,977人となり、前年末比35万7,985人増、10.5%増です。さらに2025年末は412万5,395人で、前年末比35万6,418人増、9.5%増となりました。400万人を超えたのは統計上初めてです。3年間の平均は年35万61人となります。

比較の対象を国内人口に置くと、変化の意味がはっきりします。総務省の2025年国勢調査(人口速報集計)では、総人口は1億2,304万9,524人で、5年間で309万6,575人減りました。減少率は2.5%で、前回調査の0.7%から大きく拡大しています。人口が増えたのは東京都(19万9千人増)と沖縄県(1千人増)の2都県だけで、45道府県で減少しました。
つまり、日本全体の人口が5年間で309万人減る一方、在留外国人は直近2年間だけで71万4,403人増えたことになります。総人口に占める在留外国人の割合は約3.3%です。しかも国勢調査の総人口には外国人も含まれるため、日本人だけを取り出した減少幅はこれよりさらに大きくなります。減少の速度と増加の速度が、同じ時期に別方向へ加速しています。

増えているのは技能実習ではありません

在留資格別の内訳を見ると、一般的なイメージと実態のずれが分かります。2025年末に最も増えたのは特定技能で、39万296人(前年末比10万5,830人増)でした。次いで留学が46万4,784人(同6万2,650人増)、技術・人文知識・国際業務が47万5,790人(同5万7,084人増)と続きます。
これに対し、技能実習は45万6,618人で、増加はわずか23人でした。実質的に横ばいです。人数として最も多い在留資格は永住者の94万7,125人で、こちらは2万9,009人の増加にとどまっています。
「技能実習生が急増している」という理解は、少なくとも直近の数字とは一致しません。伸びているのは、技能実習より在留期間が長く、職種の幅も広い特定技能と、専門職としての就労資格です。この違いは、後で述べる制度の設計変更と直接つながっています。
国籍の構成が入れ替わっている

総数だけを見ていると見落とすのが、国籍別の入れ替わりです。人数の上位は中国の93万428人(前年末比5万7,142人増)、ベトナムの68万1,100人(同4万6,739人増)です。ただし増加数でも増加率でも、全体を押し上げているのは別の国になっています。
ネパールは30万992人で6万7,949人増、インドネシアは26万6,069人で6万6,245人増、ミャンマーは18万2,567人で4万7,993人増となりました。増加数ではネパールが中国を上回っています。増加率で見ると、ネパール29.2%、インドネシア33.2%、ミャンマー35.7%で、中国の6.5%、ベトナムの7.4%を大きく上回ります。母数の小さい国が大きく伸びている構図です。
逆に減っている国もあります。韓国は40万7,341人で1,897人減、ブラジルは21万14人で1,893人減です。全体が増えているからといって、すべての国籍が増えているわけではありません。地域によって、どの国の人が増えているかは大きく異なります。
増えている5つの理由
理由1 働き手の供給が国内から消えている
最大の理由は、日本国内で新たに労働市場へ入る人が減り続けていることです。厚生労働省の2025年人口動態統計(概数)によれば、出生数は67万1,236人で、2016年以降10年連続の過去最少となりました。合計特殊出生率は1.14です。死亡数158万9,489人との差である自然減は91万8,253人で、自然減は19年連続となります。
この構造は労働市場の数字にそのまま表れます。厚生労働省と総務省の集計では、2025年度(令和7年度)平均の有効求人倍率は1.20倍で3年連続の低下となりましたが、完全失業率は2.6%と歴史的な低水準にとどまりました。求人が減っているのに失業が増えないのは、企業が人を減らしているのではなく、採りたくても採れない状態が続いているためです。
採れない状態が続いた結果が倒産統計に出ています。東京商工リサーチによれば、2025年(暦年)の人手不足関連倒産は397件と過去最多を更新しました。人手不足が経営課題から経営リスクに変わった局面で、企業が採用の対象を国内だけに限定し続けることは難しくなっています。
理由2 制度が受け入れを前提に組み替えられた
二つ目の理由は制度です。政府は2024年3月29日の閣議決定で、特定技能制度の受入れ見込数を2024年4月からの5年間で最大82万人と再設定し、対象分野を16分野に拡大しました。これは受け入れの上限として運用される数字であり、この枠の存在が企業側の採用計画の前提になっています。
実績も枠に向かって積み上がっています。出入国在留管理庁によれば、特定技能1号は令和8年3月末時点の速報値で40万4,527人です。特定技能2号は公表されている最新値が令和7年12月末時点の7,955人で、1号と合わせた特定技能全体は同時点で39万296人となっています。
分野別(1号・2号の合計、令和7年12月末時点)では、飲食料品製造業が9万5,644人、介護が6万7,871人、工業製品製造業が5万7,576人、建設が5万1,122人、外食業が4万4,925人です。
さらに2027年4月には、技能実習に代わる育成就労制度の施行が予定されています。技能実習の人数が前年比23人増と横ばいになっているのは、制度の移行期に入り、新規の受け入れが特定技能へ移っているためと考えられます。制度が変わったから人が増えた、という因果関係がここでははっきりしています。
理由3 人手不足が深刻な業種ほど伸びている
三つ目は、増加が業種によって偏っていることです。厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況によれば、2025年10月末時点の外国人労働者数は257万1,037人で、前年比26万8,450人増、11.7%増でした。
産業別の伸び率を見ると、医療・福祉が25.6%増の14万6,105人で最も高くなりました。次いで宿泊業・飲食サービス業が17.1%増の31万9,999人、建設業が16.1%増の20万6,468人、卸売業・小売業が14.2%増の34万687人と続きます。人数として最大の製造業は63万5,075人で全体の24.7%を占めますが、伸び率は6.1%にとどまりました。
伸び率の順位は、国内で人手不足がもっとも深刻とされる業種の順位とほぼ一致します。外国人労働者の増加は、労働市場全体に均等に広がっているのではなく、国内で人が集まらない領域に集中して起きています。
理由4 受け入れの主役は中小企業です
四つ目は、受け入れている企業の規模です。外国人を雇用する事業所は37万1,215所で、前年比2万9,128所増(8.5%増)でした。このうち従業員30人未満の事業所が23万4,086所と、事業所数の63.1%を占めます。
労働者数で見ると比率は変わります。30人未満の事業所で働く外国人は92万8,267人で、労働者数全体の36.1%、1事業所あたり4.0人です。一方、500人以上の事業所は事業所数の2.9%にすぎませんが、労働者数では17.1%(43万9,919人)を占め、1事業所あたり40.5人となっています。少人数を多数の中小企業が受け入れる構図です。
地方の実態を1県で見ると分かりやすくなります。岡山労働局によれば、岡山県の外国人労働者は2万9,612人(前年比11.0%増)、雇用事業所は3,942所で、30人未満規模が事業所数の58.4%を占めます。産業別では製造業が労働者の40.8%です。外国人雇用は都市部の大企業の話ではなく、地方の中小製造業の現場の話になっています。
理由5 来た人が帰らなくなっている
五つ目は、滞在の長期化です。在留資格として最も人数が多いのは永住者の94万7,125人であり、これは新規に入国した人ではなく、日本に住み続けた結果として積み上がった数字です。
制度もその方向を向いています。特定技能2号は在留期間の更新回数に制限がなく、要件を満たせば配偶者と子の帯同も認められます。人数はまだ7,955人(令和7年12月末時点)ですが、この資格に移行する人が増えれば、単身の就労者ではなく家族単位の居住者が増えていきます。
教育現場の数字がその変化を先に示しています。文部科学省の調査によれば、日本語指導が必要な児童生徒は2025年度に8万4,759人と過去最多になり、2010年度の3万4,007人から15年で約2.5倍に増えました。在籍先は全公立学校の39.4%にあたる1万2,668校に広がっています。労働力の受け入れとして始まったものが、人口の受け入れに変わりつつあるということです。
増加を止める方向の力も同時に働いています
円安と賃金差の縮小
ここまでのデータは増加が続く方向を示していますが、逆方向の力も確実に働いています。まず為替です。マイナビグローバルは2025年に「日本在留外国人の日本での就労意欲・特定技能への意識に関する調査」を実施しました。日本で働きたくない理由として「円安」を挙げた回答が35.5%、「給料が低い」が26.3%を占めています。
同調査で「他国の方が稼げるから」という回答は10.5%となり、前年から8.4ポイント増えました。送出国側の経済成長と円安が同時に進んだ結果、日本で働くことの経済的な利点が縮小しているという認識が広がっていることを示すデータです。
受け入れ国どうしの競争も激しくなっています。同社の集計によれば、韓国は外国人労働者の受入枠を2019年比で約2.3倍に拡大しました。日本が枠を広げても、その枠が埋まるかどうかは別の問題です。実際、韓国籍とブラジル籍の在留者はすでに減少に転じています。
政策は拡大と適正化が同時に進む局面へ
政策の方向も一方向ではありません。政府は2026年1月23日、関係閣僚会議で「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」を決定しました。法やルールを逸脱する行為への国籍を問わない対処、既存ルールの遵守と制度の適正化、マイナンバーを活用して税や社会保険料の納付情報を在留審査に活用する情報連携などが柱に挙げられています。
受け入れの枠を広げる政策と、要件を厳格にする政策が同時に進んでいるのが現在の局面です。したがって「制度が緩和され続けるから増え続ける」という単線的な見通しは成り立ちません。この点は、後述する将来推計の幅の広さに直結します。
統計そのものの限界
数字を扱う際の留保も必要です。在留外国人統計は、ある時点で在留している人数を示すものであり、入国者数でも定住者数でもありません。同じ人が翌年も在留していれば、翌年もカウントされます。
また、総務省の住民基本台帳に基づく外国人住民数と出入国在留管理庁の在留外国人数には差があります。住民基本台帳では令和8年1月1日現在で403万1,159人であり、在留外国人数412万5,395人との差は9万4,236人です。集計の対象と方法が異なるためで、どちらかが誤りというわけではありません。出典の異なる数字を並べて比較する際は、この差を踏まえる必要があります。
5年後・10年後はどうなるか
ここからは今後の見通しです。以下は公表データから機械的に導ける範囲の試算であり、予言ではありません。前提が変われば結果も変わるため、前提そのものを明示して進めます。
試算の前提を確認する
公的な将来推計の代表は、国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口(令和5年推計)です。この推計は、外国人の入国超過を年16.4万人(16万3,791人)と仮定しています。2016年から2019年の平均値をもとに設定された数字で、コロナ禍の影響を受けた2020年は除外されています。
ところが実績は、2023年末から2025年末まで3年連続で年33万人から36万人で推移し、3年平均は年35万61人でした。推計の前提を2倍以上上回っていることになります。同推計では、2070年に外国人人口が939万人となり、総人口の10.8%を占めるとされています。2020年時点の2.2%からの変化です。
実績が前提を大きく超えている以上、社人研の仮定をそのまま使えば過小に、直近の実績をそのまま延長すれば過大になる可能性があります。そこで以下では、両端と中間の3通りで試算します。
予測1 5年後は490万〜590万人、人口比は4%台
2025年末の412万5,395人を起点に、5年後(2030年末)を試算します。社人研の前提である年16.4万人増で推移した場合は約494万人、直近3年平均の年35.0万人増が続いた場合は約588万人、その中間の年25万人増では約538万人となります。
総人口は、国勢調査の減少ペースが続けば2030年に約1億2,000万人前後です。これに対する在留外国人の比率は4.1%から4.9%の範囲になります。現在の3.3%から1ポイント前後の上昇です。
この5年間の水準は、すでに入国している人の在留継続と、特定技能82万人枠の消化状況でおおむね決まります。政策が急変しない限り、500万人前後という水準は動きにくいと考えられます。
予測2 10年後は580万〜760万人と、幅が大きくなる
10年後(2035年末)は幅が一気に広がります。社人研の前提では約577万人、直近3年平均のペースが続いた場合は約763万人となり、差は186万人に開きます。中間の年25万人増では約663万人です。
総人口を約1億1,650万人と置けば、人口比は5.0%から6.5%となります。幅がこれだけ開くのは、10年という期間の中に育成就労制度の施行、為替の変動、受け入れ国間の競争、政策の適正化という不確定要素がすべて含まれるためです。
実務上の含意は明確です。10年先を1つの数字で語る計画は成り立ちません。500万人台で止まる場合と700万人を超える場合の両方を想定した設計にしておく必要があります。
予測3 増加の中身は「労働者」から「生活者」へ移る
総数以上に重要なのが、増加の中身の変化です。永住者、家族滞在、特定技能2号といった、生活の基盤を日本に置く在留資格の比重が高まっていきます。特定技能2号は家族帯同が認められ、在留期間の更新回数に制限がありません。
この変化は、企業の人事管理よりも先に、地域の生活インフラに影響します。日本語教育、就学、医療、住宅、防災情報の伝達といった領域です。日本語指導が必要な児童生徒がすでに全公立学校の39.4%に在籍している事実は、この変化がすでに始まっていることを示しています。
予測4 比率が先に上がるのは都市部ではなく地方
絶対数では都市部が圧倒的です。2025年末時点で東京都が80万1,438人(全国の19.4%)、大阪府37万5,319人、愛知県35万7,800人、神奈川県31万7,353人、埼玉県29万937人と続きます。
ただし比率で見ると話が変わります。国勢調査で人口が増えたのは東京都と沖縄県のみで、45道府県は減少しています。分子である外国人が微増でも、分母である総人口が急減する地域では、比率が先に跳ね上がります。
特定技能の都道府県別(1号・2号の合計)では、令和7年12月末時点で愛知県が3万605人と最多で、東京都2万6,171人、大阪府2万6,013人が続きます。製造業を抱える県が上位に来る構造です。人口減少と製造業依存が重なる地域ほど、外国人比率の上昇は早く現れます。
予測5 業種による依存度の差が固定化する
長期の推計では、業種による差がさらに開きます。ニッセイ基礎研究所が社人研の推計をもとに試算したところ、2070年の外国人労働者依存度(就業者数に占める割合)は産業計で12.3%となり、2022年の2.7%から大きく上昇します。
業種別では、サービス業(他に分類されないもの)が28.5%、宿泊業・飲食サービス業が24.4%、製造業が20.9%と推計されました。就業者の4人に1人が外国人という業種が複数出てくる計算です。
必要量の推計もあります。国際協力機構(JICA)が2024年に更新した調査研究では、2040年の経済成長目標を達成するには外国人労働者が688万人必要とされ、供給ポテンシャルは591万人で、97万人が不足するとされました。2022年の暫定報告(必要674万人・不足42万人)と比べ、不足幅は約2.3倍に拡大しています。
企業と自治体が優先すべきこと
企業が着手すべき五つの優先順位
第一に、自社の労働力構成を5年先まで数字で出すことです。現在の従業員の年齢構成から、5年後に何人が退職し、何人の補充が必要かを出す。この数字がないまま外国人採用を検討しても、必要人数も投資額も決まりません。
第二に、2027年4月の育成就労制度の施行を前提に、受け入れ体制を設計し直すことです。同制度では、転籍制限期間の経過や技能・日本語能力の要件を満たすなど一定の条件下で、本人意向による転籍が可能になります。技能実習と同じ運用を続ける企業は、人を採用しても定着させられません。
第三に、賃金と処遇の根拠を説明できる形に整えることです。同じ業務に対する賃金差は、日本人か外国人かにかかわらず定着率を下げます。制度上の適正化が進む局面では、説明できない処遇は法務リスクにもなります。
第四に、生活支援の分担を決めることです。住居の確保、日本語学習、行政手続きの支援を、自社でどこまで担い、どこから外部に任せるかを線引きする。外国人を雇用する事業所の63.1%が従業員30人未満である以上、社内だけで完結させる前提は現実的ではありません。地域の支援機関や自治体の窓口との接続を先に作っておく必要があります。
第五に、採用単価と定着率を並べて管理することです。送出機関や登録支援機関への費用を含めた一人あたりの採用単価と、1年後・3年後の定着率をセットで見なければ、受け入れが機能しているかどうかを判断できません。
自治体が優先すべき五つの論点
第一に、自地域の外国人住民比率と5年後の推計を出すことです。住民基本台帳のデータから現在の比率を出し、直近の増加率を当てはめて5年後を試算する。この作業は既存の統計だけででき、庁内の議論の出発点になります。
第二に、日本語教育の担い手を確保することです。日本語指導が必要な児童生徒が全公立学校の39.4%に在籍している状況では、指導体制の整備はもはや例外的な対応ではありません。人材確保が難しい場合は、広域連携や外部人材の活用を先に検討すべきです。
第三に、窓口対応を人手ではなく仕組みで解くことです。多言語対応を職員の語学力に依存させると、担当者の異動で継続性が失われます。翻訳ツールの導入、やさしい日本語での文書整備、多言語の定型フォーマット化のほうが持続します。
第四に、域内企業の受け入れ支援を産業政策に位置づけることです。外国人を雇用する事業所の63.1%が従業員30人未満であり、そこで働く外国人労働者は36.1%にのぼります。受け入れの成否は中小企業の体制に左右されます。制度説明会、相談窓口、優良事例の共有は、直接的な産業支援です。
第五に、生活インフラの情報伝達経路を作ることです。住宅、医療、ごみ出し、防災といった生活情報が届かないことが、地域の摩擦の主な原因になります。情報が届く経路を平時に作っておくことが、災害時の対応力にも直結します。
やってはいけない三つのこと
一つ目は、受け入れを「人手不足の一時的な穴埋め」として設計することです。永住者が最も多い在留資格であり、家族帯同が可能な資格が広がっている以上、実態は長期の居住です。短期の前提で作った制度や設備は、数年で作り直しになります。
二つ目は、増加ペースを直線で延長して計画を立てることです。円安による日本離れ、受け入れ国間の競争、政策の適正化という減速要因が同時に働いています。5年後で94万人、10年後で186万人の幅がある以上、単一のシナリオで固めた計画は外れます。
三つ目は、「様子を見る」という判断です。日本語指導が必要な児童生徒はすでに公立学校の4割に在籍し、外国人雇用事業所は年8.5%のペースで増えています。体制整備には数年かかるため、比率が上がってから着手すると対応が間に合いません。
よくある質問
Q. 日本に移民はいるのですか。
A. 言葉の定義によって答えが変わります。日本政府は「いわゆる移民政策はとらない」という立場で、移民を入国時点から永住を前提とする人に限定してきました。一方、国連やOECDが国際比較で用いる定義では、通常の居住地を1年以上変えた人を長期移民として数えるため、留学生や技能実習生も含まれます。事実として確認できるのは、2025年末時点で在留外国人が412万5,395人おり、総人口の約3.3%を占めるという数字です。
Q. 在留外国人はどのくらいのペースで増えていますか。
A. 3年連続で年33万人から36万人のペースです。出入国在留管理庁によれば、2022年末が307万5,213人、2023年末が341万992人でした。2024年末は376万8,977人(前年末比10.5%増)、2025年末は412万5,395人(同9.5%増)です。3年間の平均は年35万61人となります。同じ時期に日本の総人口は5年間で309万6,575人減少しています。
Q. なぜ日本で外国人が増えているのですか。
A. 主な理由は5つあります。第一に、2025年の出生数が67万1,236人、自然減が91万8,253人と国内の労働力供給が縮小していること。第二に、特定技能の受入れ見込数が5年間で最大82万人に拡大されるなど制度が組み替えられたこと。第三に、医療・福祉が25.6%増、建設が16.1%増など人手不足の深刻な業種で伸びていること。第四に、受け入れの中心が中小企業であること。第五に、永住者が94万7,125人と最多になるなど滞在が長期化していることです。
Q. 5年後、10年後には何人になりますか。
A. 前提の置き方で幅が出ます。社人研の令和5年推計が用いる年16.4万人増の前提では、2030年末に約494万人、2035年末に約577万人です。直近3年平均の年35.0万人増が続けば、それぞれ約588万人、約763万人となります。総人口に対する比率は5年後で4%台、10年後で5〜6%台の範囲です。10年後は幅が186万人に開くため、単一の数字で計画を立てることはできません。
Q. 増えているのはどの国の人ですか。
A. 2025年末時点で人数が多いのは中国93万428人、ベトナム68万1,100人、韓国40万7,341人です。増加数で目立つのはネパール(6万7,949人増)、インドネシア(6万6,245人増)、中国(5万7,142人増)、ミャンマー(4万7,993人増)です。増加率ではミャンマー35.7%、インドネシア33.2%、ネパール29.2%が上位です。一方、韓国は1,897人減、ブラジルは1,893人減と、減少している国籍もあります。
Q. 外国人を雇用しているのはどんな企業ですか。
A. 中小企業が中心です。厚生労働省によれば、2025年10月末時点で外国人を雇用する事業所は37万1,215所あり、従業員30人未満の事業所が事業所数の63.1%を占めます。この規模の事業所で働く外国人は92万8,267人で、労働者数全体の36.1%、1事業所あたり4.0人です。産業別では製造業が63万5,075人(24.7%)と最多です。
Q. 今後も増え続けるのですか。
A. 増加が続く方向の要因と、減速させる要因が同時に働いています。増加側は人口減少と制度拡大、減速側は円安による賃金差の縮小、受け入れ国間の競争、政策の適正化です。マイナビグローバルの2025年調査では、日本で働きたくない理由として「円安」を挙げる回答が35.5%、「他国の方が稼げるから」が10.5%(前年比8.4ポイント増)でした。韓国も外国人労働者の受入枠を2019年比で約2.3倍に拡大しています。総数は増えると考えられますが、増加率は変動します。
まとめ
在留外国人が412万人まで増えた理由は、単一の要因では説明できません。国内の出生数が67万人まで減り、自然減が91万人に達したという供給側の構造。特定技能82万人枠に代表される制度の組み替え。人手不足がもっとも深刻な業種での需要。そして中小企業への集中。この4つが重なった結果です。
同時に、増加を止める方向の力も働いています。円安による賃金差の縮小、韓国をはじめとする受け入れ国間の競争、そして2026年1月に決定された総合的対応策に見られる制度の適正化です。韓国籍とブラジル籍がすでに減少に転じている事実は、増加が自動的に続くわけではないことを示しています。
5年後の水準は490万〜590万人と比較的絞り込めますが、10年後は580万〜760万人と186万人の幅が残ります。企業と自治体に求められるのは、どちらか一方を当てにいくことではなく、両端のどちらでも耐えられる体制を先に作っておくことです。
そして数字以上に重要なのは、増加の中身が労働者から生活者へ移っていることです。日本語指導が必要な児童生徒が全公立学校の4割に在籍している現状は、この変化が計画の議論より先に現場で始まっていることを示しています。総数の予測精度を上げることよりも、すでに始まっている変化に体制を合わせることのほうが、実務上の優先度は高いといえます。
中小企業自治体DXニュース編集部です。
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