電子帳簿保存法の改正やインボイス制度の導入に伴い、企業の経理・バックオフィス業務を取り巻く環境が大きく変化しています。紙中心の経理処理では、法令への対応や人手不足・コスト増加といった課題を解決することが難しくなってきました。こうした背景から、クラウド会計ソフトを活用した「経理DX」が注目を集めています。ところが、実際にペーパーレス化やクラウド移行を進めるにあたっては、専門知識や社内体制の整備が不可欠です。
本記事では、税理士事務所とクラウド会計導入支援及び経理代行を手掛ける甲田拓也氏へのインタビューを通じ、経理DX導入の実践ポイントや成功事例を詳しくご紹介します。これからのバックオフィス革新に向けて、ぜひ参考にしてみてください。
〇株式会社クラウドソリューション 代表取締役 甲田拓也
公認会計士・税理士。大手監査法人、会計事務所勤務を経て、2009年独立開業。従業員数は40名、クライアント数は約600社。YouTubeチャンネル、InstagramなどSNSでの広報活動にも力を入れており、会計税務などを学べるYouTubeチャンネルは登録者数が5,700人以上(2024年12月現在)
電子帳簿保存法、インボイス制度が施行されたことによって経理・バックオフィスのDX化をより進める必要性について
ーーまずは御社の概要およびサービスのご紹介をお願いします。
甲田氏(以下敬称略):株式会社クラウドソリューションは、新宿の野村ビル23階に本社を構えており、同じフロアには、公認会計士税理士甲田拓也事務所も併設されています。
役割の分担として、甲田拓也事務所では一般的な税務顧問業務を行い、株式会社クラウドソリューションでは主に経理代行を専門に手掛けています。当社の社員は、税理士事務所の職員と同等の知識やスキルを持つ人材が揃っており、経理代行のみならず税務全般についても精通した人物をそろえています。
特に主力サービスとなっているのが、訪問を行わないオンライン型の経理代行です。契約いただいたお客様の経理業務全般をオンラインで行い、給与計算や振込業務なども当社の本社から対応しています。全社員が本社勤務を基本とし、効率的な運営体制を実現しています。
また、オンラインでの経理代行を効率的にするため、クラウド会計ソフトの導入を必須としています。お客様がすでにクラウド会計ソフトを導入している場合はそのまま活用しますが、導入されていない場合には当社が導入支援を行い、スムーズな運用をサポートしています。
ーーサービスができるまでの経緯についても教えていただけますか?
甲田:経理代行というサービスは、特に3年ほど前から需要が急拡大してきました。新型コロナウイルスの影響で対面での業務が難しくなる一方、経理業務は企業運営に欠かせないため、オンライン対応のサービスが大きく注目されるようになったのです。
当社では、経理代行の需要が高まる以前からこのサービスに注目していました。その理由として、税理士事務所で税務顧問業務を行う中で、「経理も一緒に対応してほしい」というお客様の声が以前から多く寄せられていたことが挙げられます。しかし、税理士事務所自体が忙しく、その対応が難しい状況が続いていました。
規模の拡大とともに、こうしたお客様のニーズに応えるべく、経理代行を外注形式で受けるようになりました。また、税務顧問の場合、月額3万—5万円程度の顧問料が一般的ですが、経理代行では一社分の業務単価が月額25万—30万円程度と高く、より付加価値の高いサービスとして成り立つ点も大きなきっかけとなりました。このような背景から、当社では経理代行を事業の柱の一つとして展開するに至りました。
ーーお客様のニーズからどのように広がっていったのでしょうか?
甲田:当社が経理代行を少しずつ始めたころ、船井総合研究所のセミナーや研修会に参加する機会がありました。その際、「これから経理代行が大きく成長する」という話を耳にしました。
背景としては、労働人口の減少が進む中で、経理職のような専門性の高い職種の人材を採用するのが難しくなってきていることがあります。仮に採用できたとしても、十分な知識やスキルを持った人材を確保するのが難しい状況です。
そこで、当社のように会計事務所で培った高度な知識を持つ人材が経理代行業務を提供することで、質の高いサービスをお客様にご提供できるのではないかと考えました。このような経緯から、経理代行業務を法人化し、専門的に展開することを決めました。結果として、多くのお客様にご満足いただけるサービスとなり、事業の柱として成長しています。
ーー今後、電子帳簿保存法の対応がさらに進むと予想されていますが、その点についてはいかがでしょうか?
甲田:そうですね。これから電子帳簿保存の流れは間違いなく進展していくと思います。特にスキャナ保存が強制化される流れになるかもしれません。こうした状況に積極的に対応し、サポートを提供してくれる企業や専門家との連携が非常に重要だと考えています。
当社や当社の会計事務所はもちろんですが、他にも多くの士業やサポート企業が存在しています。これから電子帳簿保存法やインボイス制度への対応が求められる中で、信頼できるパートナーを早めに見つけておくことが、企業の長期的な成功に繋がると思います。そのため、今のうちからこうした関係を築いていただくことを強くお勧めします。
当社では、電子帳簿保存法に基づき、経費精算に必要なレシートをスキャナ保存する取り組みを進めています。レシートをスマートフォンで撮影し、専用アプリを介して申請することで、紙のレシートを廃棄可能にしています。ただし、電子化には一定のルールがあり、撮影から2カ月と7日以内にアップロードする必要があるほか、解像度の要件も満たさなければなりません。こうした規制がハードルとなり、対応が進んでいない企業も一部存在しますが、近年では対応を進める企業が増加しています。当社は、そうした企業を対象にペーパーレス化の支援も行っています。
ーーでは、ペーパーレス化を進める際の課題について教えてください。
甲田:ペーパーレス化を進める際の主な課題は、法規制で定められた条件を遵守することです。たとえば、レシートのスキャナ保存においては、撮影後2カ月と7日以内にアップロードする必要があり、さらに写真の解像度に関する規定もあります。また、こうしたルールに対応するためには、社内規則の整備が欠かせません。
特に全国に拠点を持つ大企業では、各拠点で対応状況が異なるため、ある拠点では条件を満たしてレシートを廃棄可能であっても、他の拠点では未対応という状況が発生します。このような管理の複雑さが、ペーパーレス化の導入をためらわせる要因の一つです。一方で、従業員数の少ない中小企業では、比較的スムーズに導入が進むケースが多く見られます。
ーーそのような課題に対して、どのような対応策を提案されていますか?
甲田:法律で認められた範囲内で、各企業の実情に合った最適な方法をご提案しています。理想的には企業全体でペーパーレス化を進めるのが望ましいですが、現実的にそこまで対応できる企業は少数です。そのため、まずは一部の部門や本社機能だけで導入を開始するなど、段階的に進める方法を推奨しています。
ーー次に御社での支援体制について教えてください。
甲田:当社では、法令や導入支援の経験を持つ専門スタッフがプロジェクトを立ち上げ、お客様とスケジュールを確認しながら進めています。導入期間は通常半年から1年程度を目安としており、次の決算期を迎えるタイミングに合わせてペーパーレス化を定着させる計画を立てています。
また、毎月進捗を確認し、例えば「今月はスキャナ保存の条件を満たしているため、レシートは廃棄可能です」や「今月は条件を満たしていないため、紙で保存が必要です」といったフィードバックを提供しています。このように、継続的なサポートを行い、1年程度でペーパーレス化を安定運用に乗せることを目指しています。
ーー現場のレクチャーやマニュアル作成などの支援も行っていますか?
甲田:はい、現場へのレクチャーやマニュアル作成の支援も行っています。新しい取り組みには抵抗があることが多いですが、1年後の効率化を見据えて取り組んでいただければと思います。
ーーペーパーレス化の対象として、どのような書類が多いのでしょうか?
甲田:特に多いのは、経費精算のレシートや仕入れ関係の書類です。また、支払いに関する請求書もペーパーレス化の対象となります。一部の企業では、自社発行の請求書も紙から電子化に移行していますが、これらも法令を遵守した形で処理する必要があります。当社では、これらのプロセスを適切に進めるための支援を行っています。
ーー自社での運用に不安を感じるお客様も多いと伺いますが、その点についてはいかがですか?
甲田:そうですね。やはり「これで要件は満たすのか」「捨てても問題ないのか」といった不安を抱えるお客様は多いです。特に古くからの運用が定着している企業では、伝票番号を手書きして紙にまとめて保管する方法を続けている場合が多く、新しい仕組みに移行することに対してハードルを感じています。
ーー社内ルールの整備も重要になるのでしょうか?
甲田:はい、その通りです。ペーパーレス化を実現するために、まず社内ルールを見直し、新たに整備することから始めるケースも多いです。当社では、こうした社内ルールの作成支援も行い、企業ごとに適した運用ができるようサポートしています。
ーーDX化において、業務フローの見直しが重要とのことですが、具体的な進め方について教えてください。
甲田:はい、DX化を進める際には、まず現状の業務フローを詳細に把握し、お客様の課題や要望を丁寧にヒアリングします。その上で、業務フローのどこを改善すればペーパーレス化や効率化が進むのかを分析し、新しい業務フローの提案を行います。
例えば、「紙を捨てたい」というお客様の要望があれば、現在のフローを見直し、必要な変更点を具体的に示します。これにより、ただ電子化を進めるだけでなく、全体的な業務効率の向上を目指したサポートを提供しています。
ーークラウド会計ソフトの導入支援と関連性はありますか?
甲田:そうですね。業務フローの見直しは、クラウド会計ソフトの導入支援とも密接に関連しています。各企業の状況や要件に応じて、適切なソフトウェアの選定や導入方法を提案し、業務フロー全体の最適化を図ります。
ーー企業ごとにカスタマイズ対応が必要になることも多いのでしょうか?
甲田:はい、多くの場合、企業ごとに異なる要件や制約があるため、完全なテンプレート化は難しいです。例えば、「この業務フローは変更できない」という制約がある場合、その条件に合わせて別のソリューションを検討し、提案を行います。このように、柔軟でカスタマイズされた支援を提供することが、成功の鍵だと考えています。
ーー現在対応している企業規模や業種について教えてください。
甲田:当社がペーパーレス化を支援している企業は、上場していないものの、年商が2億円から15億円、あるいは20億円程度の企業が中心です。この規模の企業は導入が比較的スムーズであり、相談を受けることが多いです。
業種については特に限定しておらず、サービス業から製造業まで幅広い分野に対応しています。業界や事業内容にかかわらず、それぞれの企業の状況に応じた最適な提案を行っています。
ーー会計ソフトの導入支援はどのように進めていらっしゃいますか?
甲田:会計ソフトの導入支援は、主に月次の財務諸表を迅速に把握したいというニーズに応える形で進めています。このようなニーズに対応するため、クラウド会計ソフトの導入を3〜6カ月程度のプロジェクトとして実施するケースが多いです。
まず、現在のお客様の会計処理状況を詳細に確認します。使用している勘定科目や経費の種類などをヒアリングした上で、最適な会計ソフトを選定します。その後、現行の会計システムと並行してクラウド会計ソフトを導入し、新しい業務フローに移行していきます。導入期間中は、現状の運用を保ちながらクラウド環境への移行をスムーズに進める支援を行っています。
ーー御社内で会計ソフト選定のノウハウはあるのでしょうか?
甲田:はい、当社では様々な業種や企業規模に対応する中で培ったノウハウがあります。「このパターンならこの会計ソフトが適している」という指針をもとに、お客様のニーズに合ったソフトウェアを選定しています。
また、会計ソフトだけでなく、給与計算ソフトや債務支払いソフト、売上管理・債権管理ソフトといった付随システムも考慮に入れています。さらに、お客様が既に使用しているデータベースとの連携性を確認しながら、最適なソリューションをカスタマイズして提案します。
ーーデータの一貫性や正確性も重視されているのですね。
甲田:その通りです。どこから売上データを引き出すのが最も効率的で正確かを考慮し、ソフトウェアの選定を行います。業種や使用中のデータベースによって、相性の良い会計ソフトが変わるため、それを見極めた上でお客様に最適な提案を行っています。
ーー実際にこれまでにどれくらいの事例がありますか?
甲田:これまでに100社以上、恐らく200社近くの事例に対応しています。こうした豊富な経験を基に、それぞれのお客様に最適な提案を行っています。
ーーお客様から特に多く寄せられるニーズや相談内容について教えてください。また、法律の改正に伴い、DX化の必要性が高まったことで相談件数に変化はありましたか?
甲田:そうですね。法令改定が直接的にニーズを増やしたわけではないのですが、例えばインボイス制度の導入に関連したご相談は増えています。特に、どの会計ソフトを選ぶべきかという点は非常に重要になってきています。
現在は、会計ソフトと取引先管理用のデータベースが連動できるようなシステムが普及してきています。この仕組みを活用することで、取引先がインボイスの適格請求書発行事業者かどうかを自動的に判別し、会計ソフトで管理することが可能になりました。このような背景から、インボイス制度開始に伴い「会計ソフトを変更したい」というご相談が非常に多かったです。
その際、私たちはクラウド型の会計ソフトをお勧めすることが多いですね。また、「こういった方法で運用すれば二重入力の手間を省けますよ」といった具体的な提案も行っています。取引先管理と会計管理を別々のシステムで運用している企業が多いのですが、これを連携させることで業務効率化が図れるという点をご提案しています。
ーー インボイス番号をいちいち聞いて登録するのは、確かに手間がかかりそうですね。
甲田:その通りです。例えば、Excelで取引先を管理している企業が、同じ内容を会計ソフトにも入力しなければならないケースが多く、これがいわゆる「二度手間」になります。また、適格請求書発行事業者かどうかを毎回データベースで確認しながら会計処理を行うのは、人的リソースを相当消費します。
そのため、人件費を増やすよりも、会計ソフトをアップグレードしてクラウド機能を活用する方が合理的です。私たちは「ITに投資して効率化を図りましょう」という提案をよく行っています。
ーー なるほど。電子帳簿保存法に関連しては、ペーパーレス化が進んでいるのでしょうか?
甲田:はい、ペーパーレス化は確実に進んでいます。例えば、請求書が紙で発行されている場合、人が一つ一つ会計ソフトに入力するのは非常に工数がかかります。これを電子発行に切り替え、会計ソフトと連携させれば、人の手で入力する必要がなくなり、入力ミスも防ぐことができます。こうした流れがペーパーレス化を後押ししているのです。
ーー確かに、売掛金の消し込み作業なども一元化できると効率的ですね。
甲田:その通りです。従来型の会計ソフトでは、入金のたびに会計ソフトと管理ソフトそれぞれに入力する必要がありました。しかし、クラウド型会計ソフトを導入することで、こうした作業を自動化し、人の手を介さずに処理が完結するようになります。これにより、業務効率が大幅に向上します。
ーーありがとうございます。次に御社の強みや他社との違いについて教えてください。
甲田:当社の強みは、クラウドソリューションとしての会計や財務の専門性を持ちながら税理士事務所との強い連携を併せ持っている点です。グループで対応することで一般的な経理業務だけでなく、税務業務やキャッシュフロー管理といった領域まで一貫して対応できます。これにより、お客様は経理や税務に関わる複数の業務を一括して依頼でき、業務の効率化とエラーの削減が図れます。
さらに、当社のスタッフは財務の専門知識を備えており、CFO代行のような役割を担うことが可能です。例えば、予実管理や資金繰り表の作成など、財務コンサルティングの領域まで踏み込んだ提案を行うことで、単なる経理代行を超えた価値を提供しています。
ーー実際のやり取りはどのように行っていますか?
甲田:お客様とのやり取りは基本的にオンラインで完結します。ZoomやMicrosoft Teams、Googleドライブ、Dropboxなどのツールを駆使して、直接対面することなくスムーズなコミュニケーションを実現しています。オンライン対応により、地理的な制約を受けることなく、迅速で効率的なサービスを提供しています。
ーーありがとうございます。次に差し支えない範囲で、これまでに支援された成功事例について教えていただけますか?
甲田:インボイスに関する成功事例では、オフラインの環境で経理業務を行っていた売上50億円規模の企業をサポートしたケースがあります。
この企業では、デスクトップ型パソコンにインストールされた会計ソフトを使用しており、オフライン環境でしか経理業務ができませんでした。また、取引先が300〜500社と多岐にわたり、インボイス制度開始後の管理業務に不安を感じていました。
当社は、クラウド会計ソフトの導入を提案し、1年かけて移行作業を実施しました。このソフトウェアにより、初期設定後は取引先の課税事業者情報を自動で管理できるようになり、業務効率が大幅に向上しました。
さらに、この企業では請求書を紙で管理していたため、電子帳簿保存法を見据えたペーパーレス化も並行して進めました。当社は、会計ソフトとの親和性が高い債権管理ソフトを提案し、債権管理と会計ソフトのデータ連携を実現しました。これにより、従来は別々に行われていた入力作業が統合され、業務フローが大幅に改善されました。
結果として、経理担当者が2人削減されても業務が滞ることなく、月次決算が翌月10日から15日以内に完了するようになりました。このような効率化により、同社は人的リソースを他の業務に再配分でき、全体的な運営効率が向上しました。
ーーこの取り組みで得られる最大のメリットはどこにあるとお考えですか?
甲田:主に試算表の早期化や工数削減が挙げられると思います。
従来のやり方を維持したままインボイス制度に対応しようとすると、経理の人員をあと2人ほど増やす必要が出てきます。しかし、優秀な経理人材を確保するのは非常に難しい状況です。そこで、企業としてはDX化を進める以外に選択肢がないという流れが多いですね。その結果、当社にご相談いただくケースが増えています。
ーー法律改定によって工数が増える中で、DX化が必要不可欠になっているということですね。
甲田:はい、そうですね。必要性が高まっていると感じます。
ーー一部の業務をアウトソーシングしている企業もあると思いますが、このプロジェクトではどのような形で対応されたのでしょうか?
甲田:この事例では、導入支援とコンサルティングのみの対応でした。実際の経理業務は企業内で行われています。売上規模が50億円程度の企業だったため、経理部門が一定の人員を有している状況でした。
ーーなるほど、コンサルティングのみでも対応可能ということですね。
甲田:はい、その通りです。一方で、売上規模が2億円から5億円程度の中小企業では、工数の増加に対応できる人員を増やせないケースが多くあります。その場合は、当社が経理代行を引き受けることが一般的です。
ーー具体的な成功事例があれば教えていただけますか?
甲田:例えば、ある中小企業では、社長自らが経理業務を率先して担当し、スタッフに入力させる形で顧問税理士が修正を行うという状態でした。この企業では、当社が経理代行を全面的に担当することで、社長は経理業務から完全に解放されました。
現在では、翌月10日には試算表を提供し、それを基に資金繰りや経営指標を検討していただいています。振込業務や請求書の発行などもすべて当社が担当しており、経理担当者は社内に一人もいない状態です。
ーー素晴らしいですね。御社が対応できる業務の規模や業種についても教えてください。
甲田:業種によって対応スタイルが異なりますが、成功事例として挙げた企業はIT企業で、紙の請求書や立替経費がほとんどありませんでした。このような企業では、経理の外注が非常に効率的です。
一方で、飲食業のように紙のレシートが頻繁に発生する場合、基礎資料の整理を行うスタッフが必要です。その場合、基礎資料の整理を社内で行い、残りを当社が担当するという形になります。
ーー経理知識がなくても対応できる部分を総務や事務担当者が行い、それ以外を外注するというスタイルですね。
甲田:その通りです。この方法で十分に運営可能です。
ーー今後、どのような新しいサービスやアップデートをお考えですか?
甲田:現在、インバウンド需要を見据えた新しいサービスを検討しています。具体的には、日本で会社を設立したい海外の方々をターゲットに、公認会計士税理士甲田拓也事務所を含めたグループで税務顧問や経理代行を提供することを計画中です。日本の会計事務所は、英語対応や文化の違いを克服したサービスを提供しているところが少ないため、グループとしてはこの分野で貢献したいと考えています。
オンラインを活用して、海外の経営者ともスムーズにコミュニケーションを取りながらサービスを提供する予定です。
ーーリリースの時期は決まっていますか?
甲田:具体的なリリース日は未定ですが、現在、ホームページの改定など準備を進めています。
ーー最後に、これから経理DXを検討している企業に向けて、最初の一歩としてのアドバイスをお願いします。
甲田:最初の1年間は変化に対する不安があると思いますが、その期間を乗り越えれば業務は格段に楽になります。現在のやり方を変えることを恐れず、一歩踏み出していただければと思います。
ーー素晴らしいお話をありがとうございました。これでインタビューを終了させていただきます。本日はお忙しい中、お時間をいただき本当にありがとうございました。