【業種別】中小企業DXの取り組み方とは?製造・建設・運輸・小売業

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 DX時代が到来し、大手企業を中心にテクノロジー導入が始まっています。経済産業省「DX推進指標」におけるDXは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応するためにデジタル技術を活用し、顧客ニーズを基にした製品開発、ビジネス変革を起こすこと」と定義されています。

しかし、中小企業の中には、どのようにテクノロジーを活用すればよいかわからない方もいるのではないでしょうか?この記事では、業種別の中小企業DXの取り組み方について解説します。

【製造業】中小企業DXの取り組み方

まずは、製造業の中小企業DXの取り組み方について解説します。

1.製品開発のデジタル化

製造開発のデジタル化とは、非効率な製造工程にデジタル技術を応用して改善し、生産性向上を図ることをいいます。

デジタル技術を活用して製品やビジネスモデル改革することにより、競争力が高められます。製品開発のデジタル化で注目を浴びているものが「3Dプリンター」と「デジタルツイン」です。

3Dプリンター 3D CADにてモデリングした仮想的なイメージデータを実物として立体的に出力するための機械。

3Dプリンターの低価格化と高機能化が進み、ものづくり改革ツールとして期待されている。

デジタルツイン デジタル空間に物理空間のコピーを再現する技術。デジタル空間でシミュレーション、データ分析を行うことで開発前のリスクを軽減でき、製品の性能と寿命の最適化が行える。

2.製造工程の可視化

製造工程のデータ(設備・人・モノ)を収集、データを可視化して「品質」「コスト」「納期」「安全性」の向上を図ることが製造現場に求められてきています。

各工程でトラブルが発生した場合の原因が発見しやすく、現場の改善ポイントも発見しやすくなります。製造現場のQCDSの指標を上げるためにも、製造工程の可視化は検討しなければいけません。

IoT監視システム 製造工程のデータを測定して、リアルタイムの製造現場の状況を把握できるシステム。遠隔操作で装置の稼働操作ができる監視システムも登場している。

3.製造工程の自動化

製造業の人材不足は社会問題になってきており、製造工程の自動化が進んでいます。製造部品の品質管理のAIに、製品製造から梱包までロボットにより製造工程の自動化が加速。AIやロボットを上手に活用すれば完全自動化も実現できます。

協働ロボット 重い荷物を運ぶ協働ロボットなどが開発されている。協働ロボットは、工場内のデータが読み込まれており、そのデータを参考にして走行経路を判断できる。
AI 品質管理の固定において、ホコリや傷が付着している製品を自動で取り除いてくれる。傷の修理やホコリの除去までワンストップで行える装置が登場している。

4.製品付加価値の追加

デジタル技術を活用した製品の付加価値の取り組む企業も増えています。

例えば、IoTを活用したウェアラブルデバイスが成功事例です。ウェアラブルデバイスは脈拍数などをリアルモニタリングできる健康機器として人気を集めています。

このように、競争優位性を得るために、テクノロジーを活用した製品付加価値に取り組む必要があります。  

5.他社協働による製造

製造業では他社連携の動きが始まっています。

例えば、東芝デジタルソリューションズとキャノンは『スマート工場』を実現するために連携することを発表しました。東芝はIoT技術を使用したものづくり支援を手掛けています。

その一方、キャノンは産業用カメラや画像処理ソフトを提供し、工場稼働率が上がるスマート工場の実現に取り組んでいることで有名です。

このような別分野に取り組む企業が協業して、新たな収益源を育てる時代を迎えています。

6.ペーパーレス化

製造業で発生する注文書や部品表などの帳票管理や作成は莫大な労力がかかります。これらの帳票類を電子化し、RPAを導入すれば帳票類の自動作成も可能です。

帳票類の電子化に取り組むことで、帳票の紛失や管理体制の強化、業務効率化の恩恵が受けられます。

【建設業】中小企業DXの取り組み方

次に建設業の中小企業DXの取り組み方について解説します。

1.設計データを活用したシミュレーション

現実世界にある物体を火葬空間上に再現するデジタルツインは建設現場と相性が良いです。

清水建設は『豊洲MiCHiの駅』の工事を担当していますが、デジタルツイン上で建設前の試験を行っています。細部までデジタル上で再現できるため、建設時の予想外のトラブルが避けられます。

また、AI技術の研究が行われていますが、建設業務の効率化や自動化は研究段階となっているようです。

2.現場の測量や撮影の自動化

建設現場のDX推進で、ドローンを活用した現場の測量や撮影を開始する企業が急激に増えています。ドローンを活用する最大のメリットは、現場のスタッフを危険にさらすことなく点検が行えることです。

ドローン 従来のラジコンヘリコプターと比較すると安定性が優れ操縦も簡単になりました。また、最新ドローンでは自走で障害物を避けることも可能になってきている。

3.ロボットによる施行

建設現場の人材不足を解消する画期的なロボットが続々と登場しており、将来的には協働していく時代を迎えると言われています。

ロボットには「LiDAR」と呼ばれるレーザースキャナーが取り付けられており、作業場をスキャンして施工を開始。パテを完璧に塗るロボットや石膏ボードを取り付けるロボットが登場しています。

4.通信技術を用いた遠隔施工

通信技術を活用すれば、建設機械を遠隔操作できます。2018年にKDDI・大林組・NECの共同開発で5G通信を活用した『建設機械の遠隔操作』に成功しました。

建設機械に乗車しなくても動かせるため、災害現場など危険な場所で活用するなどの動きが出ています。

遠隔操作 物理的に離れた場所にある端末を操作することをいう。
5G 次世代通信のことをいい、高速・大容量・多接続・低遅延の通信が実現できる。

5.ICTを活用した業務効率化

ICTを活用した情報共有は、どの業界でも必要不可欠です。建設業界の場合は、お客様と密なコミュニケーションをしながら建物の仕様などを決めていくため、情報共有は欠かせません。

ICTを活用していけば、情報共有ミスを防止できます。また、自宅にいながら住宅の仕様決めができるオンライン会議ツールを使用した業務改善の動きも出てきています。

ICT 情報通信技術を活用したコミュニケーション

 

【運輸業】中小企業DXの取り組み方

Automated robot carriers in modern distribution warehouse.

次に運輸業の中小企業DXの取り組み方について解説します。

1.経路選択の最適化

どの車両が集配先に、どのような経路で回るのが最適であるか配送計画を立てることは大切です。近頃はGPSで取得したデータを基に走行速度や停車位置を学習し、現実に近い配送予定時刻を算出してより精度の高い経路計画を立てる企業が増えています。

また、配送実績データを解析して配送ルートをAIで最適化する動きも出てきています。

AI AI技術を活用すれば道路状況や受取時間に応じて配送ルートを最適化できる
GPS 各車両の配送実績データを収集、リアルタイムの配送状況を確認するために導入されている

2.配達手段の多様化

在宅・不在を問わずに荷物が受け取れる宅配ボックスの登場など、配達手段は多様化してきています。近頃は高セキュリティなスタンダロン式宅配ボックスが設置されています。

タッチパネルで相性番号を入力するものや、非接触キーをかざすものなどさまざまなタイプの宅配ボックスが登場しています。

3.連絡業務の効率化

運輸業は不在のお客様から再配達の依頼を受けます。配送ドライバーは、運転中の電話対応を減らすなど再配達の業務効率化をしたいと思っているはずです。

これらの課題はAIチャットボットを搭載すれば解決できます。AIチャットボットの代行により運転中の電話対応を削減できます。

チャットボット お問い合わせに自動的に対応するコミュニケーションツール。

4.入出庫作業の省略化 

運輸業界の労働力不足も深刻化しています。ECサイトの市場拡大は増加する中で、重労働となる荷役作業を希望する労働者が少なく慢性的な従業員不足になっているのです。こ

の問題を解決するための共同ロボットが続々と登場しています。運搬ロボットや仕分けロボットなど、さまざまなロボットが登場。また、商品の入出庫や検品作業をRFIDを活用して効率化する動きもでてきています。

RFID バーコードからRFIDタグに切り替えることにより、タグの一括読み込みが行える。入出庫管理や検品作業、在庫管理や棚卸管理を効率化できる。
協働ロボット 運搬ロボットや仕分けロボットなど、さまざまな協働ロボットが登場している

5.他社と連携したサービスの提供

輸送会社が他の企業と連携して、さまざまなサービスを提供しています。例えば、倉庫シェアリングサービスを提供する『souco』と提携して、荷物保管から配送業務までを提供する新たな物流倉庫サービスを提供する輸送会社が登場してきています。

【小売業】中小企業DXの取り組み方

次に小売業の中小企業DXの取り組み方について解説します。

1.オンラインとオフラインの融合

実店舗での買い物を楽しみたい方もいれば、ECサイト上で買い物を済ませたい方もいます。

また、手荷物になるのを避けるために、実店舗で商品を確認した後にECサイト上で購入する方も増えました。オンラインとオフラインの融合は、小売業DXに必要不可欠です。今後は、消費者にニーズに合わせたビジネス戦略を工夫していかなければいけません。

小売業のビジネス戦略として基本的な概念がOMO(Online Merges with Offline)です。そのため、ECサイトは必ず構築しましょう。

2.キャッシュレス

小売業界でキャッシュレスが加速しており、スマートフォン決済やセルフレジを導入している店舗が続々と登場しています。キャッシュレスを導入すれば、会計処理の負担が軽減できます。コロナ禍では非接触で会計処理を行えば、お客様に安心感を与えられるでしょう。

また、キャッシュレスを導入すれば、顧客データを集めやすくなります。これらの情報をマーケティングなどに活用して、飛躍する小売業は多いです。

3.店舗内の導線把握と改善

店舗の商品レイアウトによって売上が変動することは周知のことです。レイアウトや導線把握にヒートマップツールを活用すれば、お客様の導線の可視化が可能。

来店したお客様は、どのようなルートを辿るのか、どこに集まるかを把握できれば、従来とは異なる販売戦略が組み立てられます。このようにテクノロジーを活用した店舗レイアウトの変更に挑戦する企業も増えています。

 4.オンラインツールの活用

新型コロナウイルスの影響で客足が遠のき、売上低下に悩む企業も珍しくありません。小売業は新型コロナウイルスの影響を受けていますが、Liveチャットなどオンラインツールを活用して、インターネット上で商品販売する動きが出ています。

コーディネート術を写真や動画で投稿して、固定のファンを獲得するアパレル会社なども登場しています。

Liveチャット 商品販売のライブ配信ができるツール。ライブ配信が終了すると動画はアーカイブされる。
オンライン接客ツール 商品をECサイト上にアップロードしたり、チャット機能を活用してお客様と背客できたりする。

 

5.店舗の無人化

日本国内では数は少ないですが、今後は店舗の無人化が増えてくると予測されています。米国では『Amazon Go』と呼ばれるリアル店舗でありながら、非接触・非対面で商品が購入できる店舗が増えてきています。

新型コロナウイルス感染拡大が叫ばれる中、非接触・非対面での商品販売の検討は余儀なくされていくことでしょう。

まとめ

今回は、業種別の中小企業DXをご紹介しました。最後に、業種別の中小企業DXについておさらいしておきましょう。

業種 DX化の取り組み
製造業
  • 製品開発のデジタル化
  • 製造工程の可視化
  • 製造工程の自動化
  • 製品付加価値の追加
  • 他社協働による製造
  • ペーパーレス化
建設業
  • 設計データを活用したシミュレーション
  • 現場測量や撮影の自動化
  • ロボットによる施行
  • 通信技術を用いた遠隔施工
  • ICTを活用した業務効率化
運輸業
  • 経路選択の最適化
  • 配達手段の多様化
  • 連絡業務の効率化
  • 入出庫作業の省略化
  • 他社と連携したサービスの提供
小売業
  • オンラインとオフラインの融合
  • キャッシュレス対応
  • 店舗内の導線把握と改善
  • オンラインツールの活用
  • 店舗の無人化

 

これらの中小企業DXは、補助金を活用して実現できる場合もあります。そのため、補助金からIT導入支援までをワンストップで相談できるコンサルティング会社に相談してみてください。