人材不足は国内の多くの企業にとって深刻な課題となりつつありますが、多様なソリューションがある中、注目を集めているのが外国人労働者の確保です。
日本に比べて就労意欲の高い若者を海外から積極的に招き入れることで、人材不足の解消はもちろん、ビジネスのグローバル化を推進することも可能です。
今回は、外国人労働者の雇用に際して活用したい、即戦力確保に向けた助成金制度について、ご紹介します。
外国人労働者を雇用するメリット
日本は小さな島国でありながら、1億2,000万人という人口を誇り、生産力もある東アジアでも有数の経済大国です。それでありながら外国人労働者を海外から招き入れ、雇用することにどのようなメリットがあるのでしょうか。
速やかに人材不足を解消できる
外国人労働者を確保する一つ目のメリットは、速やかに人材不足を解消できる点です。国内であれば人手を見つけるのが難しい条件であっても、日本で働きたい、自分の力を生かしたいと考えている人を海外に目を向けて探してみると、スムーズに見つけられるケースも少なくありません。
特に飲食業界や建設業界、介護業界など人手不足が深刻な業界における外国人労働者の活躍は大いに広がっており、多様な会社で積極的な雇用を進めています。
外国人労働者の雇用は、日本人と同等以上の賃金を保証する必要があるとはいえ、スピーディに人材確保ができるというメリットは魅力です。
地方活性化につながる
二つ目のメリットは、地方の活性化です。少子高齢化が進んでいる日本ですが、特に都市部を離れた地方では、この問題が深刻です。子供や若者の人口が少なくなっているだけでなく、地域の若者も東京や大阪などの都市部へ進学・就職するケースが増えているため、地元志向の若い世代が少なくなっているためです。
そんな中、地方の人口減少や産業の衰退を食い止めているのが、外国人労働者の存在です。地域密着型の産業に従事したり、農業に従事したりという活動にも、積極的にコミットしてもらっている様子が伺えます。
実際、農作物の収穫期が近づくと、普段農業に従事している地元の人だけでは人手が足りず、外国人労働者の存在が不可欠になりつつあります。今でこそ収穫作業のような単純労働での起用が大半を占めていますが、今後外国人労働者が現地に定着していけば、本格的な農作業への従事、あるいは農家の引き継ぎも担うようになっていくでしょう。
彼らが地方に職と住処を構えれば、母国から家族も呼び寄せ、地域の活性化へとつながっていきます。
モチベーションの高い人材を確保しやすい
外国人労働者は、わざわざ母国を離れて、日本で働きたいという希望を持って応募してくれるため、モチベーションは日本人よりも高い傾向にあります。長期にわたって技能訓練や現場作業への従事が期待できるため、定着してもらいやすいのが特徴です。
やる気のある人材探しに苦労している、複雑な業務を任せたいと考えている場合にも、外国人労働者は役立ちます。
多言語対応・グローバル展開を後押しできる
外国人を海外から招いて働いてもらうことで、多言語対応を進められるのも強みです。小売業などはインバウンド集客の需要も増えていくため、タイやベトナム、中国など観光客としての出入りの盛んな国々に向けて、多言語対応をしてもらえるのも強みです。
また、海外向けのサービスを本格的にリリースする際も、外国人労働者を起用して、ローカライズ業務などを任せることで、ネイティブの感性に近い形で展開を進められます。
外国人労働者の受け入れに活用できる主な制度
外国人労働者を受け入れる場合、主に活用することになるのが、以下の二つの制度です。場合に応じて使い分けましょう。
技能実習生
外国人技能実習生は、彼らの母国での習得が難しい技術を日本企業に報酬を支払ってもらいながら提供してもらうことで、スキルの習熟を促す制度です。
研修内容によっては最長で5年間の滞在が可能な制度で、日本人向けの研修と業務内容を同レベルに提供するための企画であるため、質の高い人材の育成につながる仕組みです。
特定技能
特定技能研修は、あらかじめ指定された産業分野における、何らかのスキルを持った人物へ適用できるプログラムです。その分野における経験や、知識が求められるものの、最長で5年間の在留が認められるため、安心して仕事を任せられるという強みがあります。
経験と知識の両方を備えている必要はなく、その分野における、ある程度の専門性が認められれば制度を適用できます。
また、「建設業」と「造船舶用工業」を対象とした特定技能制度には、在留期間に制限はありません。数年おきの更新は必要なものの、一度取得できれば条件を満たし続けることで、事実上の永住が可能な制度になっています。
特定技能2号の取得者は、単身での生活はもちろん、母国から家族を招いて暮らすこともできるため、非常に魅力的な措置と言えるでしょう。
外国人労働者の受け入れと教育に活用できる助成金
続いて、外国人労働者の受け入れの際、あるいは業務に従事してもらうための教育研修に必要なコストを賄うために活用できる助成金制度についてご紹介します。
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
外国人労働者の就労に特化したコースを設けている人材確保等支援助成金は、外国人が日本で働く上で抱えるトラブルを回避するために、必要な支援を拡充するための制度です。
通訳に必要な費用や、弁護士、社労士への委託料金、社内マニュアルの拡充に必要な費用などをこの助成金によって賄えます。
行政によって認められた生産性要件を満たしている場合には、支給対象経費の3分の2、上限額は72万円の支援を受けられ、生産性要件を満たしていない場合でも支給対象経費の半分、上限額は57万円という支援を受けられます。
雇用調整助成金/中小企業緊急雇用安定助成金
雇用調整助成金、及び中小企業緊急雇用安定助成金は、中小企業で事業の縮小を予定している企業が、外国人労働者の研修を実施する際に交付される助成金です。基本的な助成率は中小企業の場合5分の4、解雇を行わない場合は10分の9の割合の支払いが行われます。上限は9,000円です。
トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金は、正式な雇用前の試験的な雇用の際に企業へ交付される助成金です。外国人を含めた求職者が、企業の求めるパフォーマンスを発揮できるかどうかを見極める際に活用できる制度で、助成金を活用することで、少ない負担で新しい人材活用を推進可能です。
基本的に支給される額は、一人当たり月額4万円となります。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、非正規雇用から正規雇用へと転換する際に発生するコストを穴埋めするための助成金制度です。
有期雇用から正規へと転換する場合、中小企業は一人当たり57万円の支給を受け取ることができます。企業の生産性向上が認められる場合には、その額は72万円へと増加するなど、さらなる恩恵が期待できます。
有期から無期への転換、あるいは無期から正規の場合でも、28.5万円、あるいは36万円の支給を受け取ることができます。
外国人労働者受け入れ時に満たしておきたい条件
以上のような助成金を受け取ることができる外国人労働者の雇用は、受け入れ時の負担を大きく抑えることができるため、ぜひ活用したい制度の一種であると言えます。
最後に、外国人労働者の受け入れ時に取り組んでおきたい、社内の取り組みについて、ご紹介します。以下の環境整備は外国人労働者を適切な形で受け入れ、助成金を交付してもらう条件としても指定されているため、あらかじめ導入を検討しておくことが重要です。
就業規則や社内マニュアルの多言語化
一つ目の条件は、就業規則や社内マニュアルの多言語化です。これまで日本語で用意しておけば問題なかった就業規則なども、受け入れる外国人が問題なく業務を遂行できるよう、彼らの言語に合わせて対応させる必要があります。
東アジア・東南アジア地域は母国語となる言語が細かく分かれているため、中国語やタイ語、インドネシア語など、複数の言語に対応させる必要があるでしょう。
外国人向け休暇制度の整備
外国人労働者を受け入れる際には、彼らが安心して働けるための制度拡充も進めなければいけません。彼らが一時的に帰国できるよう、まとまった休暇を取るための仕組みも制定し、モチベーションの高い人材を迎えられるため備えておきましょう。
日本人とは異なるスケジュールで設定できるようにするなど、柔軟性を確保しておく必要があります。
相談窓口の設置
これまで日本人ばかりだった職場に外国人が雇用されることで、これまでは見られなかったトラブルなどが発生することもあります。
日本人スタッフはもちろん、外国人スタッフも安心して働けるよう、彼らに向けた相談窓口を新たに整備し、組織内のトラブルの解消に努めましょう。
まとめ
今回は、外国人労働者の雇用の際に活用が可能な助成金についてまとめました。外国人労働者の雇用には、相応のコストが予想されますが、それらを賄うための制度も拡充しており、積極的な活用でその多くをカバーできます。
外国人労働者を確保すれば、速やかな人材の獲得やスキルセットを持った人物の確保、グローバルなビジネス展開など、企業活動に新しい価値をもたらすことができます。制度をフル活用して、うまく雇用を進めていきましょう。
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