中小企業では資金繰りに悩む企業も珍しくありません。金融機関の融資の他にも、資金調達方法として『ノンバンク』があります。ノンバンクで資金調達をしても大丈夫なのでしょうか?どのような場合にノンバンクを活用するべきなのでしょうか?この記事では、ノンバンクによる資金調達について詳しく解説します。
ノンバンクと銀行の違い
ノンバンクと銀行を比較すると『法律』『総量規制』『金利』『融資スピード』『借入金額』『審査』の各面が大きく異なります。(※総量規制とは、法律により借入金額の上限が定められることをいいます。)
ノンバンク | 銀行 | |
貸金業法 | 適用される法律 | 銀行法 |
対象 | 総量規制 | 対象外 |
高い | 金利 | 低い |
最短即日 | 融資スピード | 2週間以上 |
500万円~1,000万円 | 借入金額 | 審査次第
(※1,000万円~10億円程度) |
少ない | 必要書類 | 多い |
長期 | 返済期間 | 短期 |
開業資金にも対応 | 求められる業歴 | 実績が求められる |
ノンバンクを利用すべきときとは?
ノンバンクと銀行の比較表を掲載しましたが、ノンバンクが役に立つときは以下のケースです。
- 実績が少なくて銀行の融資審査が厳しいとき
- 銀行の融資枠が一杯のとき
- すぐに資金調達をしたいとき
- 事業資金と生活資金を同時に借りたい場合
ノンバンクは銀行と比較すると金利が高くなり、総返済額が上がります。しかし、即日融資を希望したい場合や銀行の融資を断られた場合、融資限度枠を超えてしまった場合はノンバンクを活用しましょう。ノンバンクと銀行の違いを理解した上で資金調達しましょう。
ノンバンクの種類
ノンバンクは『消費者金融』『信販会社』『ビジネスローン』『リース会社』『銀行系ローン会社』があります。どのような方向けのサービスなのかをまとめたので、最適なノンバンクを選んでください。
消費者金融 |
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信販会社 |
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ビジネスローン |
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リース会社 |
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銀行系ローン会社 |
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ノンバンク(1)消費者金融
消費者金融とは、個人に対する小口融資を行う貸金業者の業態を指します。現在の消費者金融業者は、貸金業法に基づいて融資を行っており、多重債務が起きないように仕組み化されています。そのため、従来よりも消費者金融は安心して利用できるようになってきました。
メリット
消費者金融のメリットは、即日融資に対応していることです。「翌日までに資金を調達したい!」という要望を叶えてもらえます。また、消費者金融で融資を受ける方法には『ATM』や『専用アプリ』などがあります。場所と時間を選ばずに融資の申込みができることもメリットです。
デメリット
消費者金融のデメリットは金利が高いことです。どの程度の金額を借りるかにもよりますが、金額は3%~18%程度と高金利になりがちです。総返済額が上がり返済が困難になる方もいます。また、審査が機械化のため、過去に滞納や返済遅延がある方は融資が受けにくくなります。
向いている人
- 手続きが簡単な融資をお探しの方
- 最短即日の融資を希望している方
- 事業資金と生活資金を同時に借入したい方
ノンバンク(2)信販会社
割賦販売法と呼ばれる法律に基づいて、信用販売を行っている会社を信販会社といいます。大手信販会社として株式会社ジャックスや株式会社オリエントコーポレーションが有名です。
信販会社は申込者に金銭を貸すのではなく、一時的に商品購入代金を立て替えて後日請求を行います。このような仕組みのため貸金業には該当しません。しかし、信販会社はキャッシング機能付きのクレジットカードを発行し出したことから貸金業者として登録されるようになりました。
メリット
信販会社を利用すれば、手元に資金がない場合でも商品購入ができます。また、クレジットカード情報の入力をせずに済むため、カード不正利用やフィッシング詐欺の不安を払拭できます。信販会社が企業に信用度を審査して融資を判断するため、金利が消費者金融より低くなっていることもメリットです。
デメリット
信販会社のデメリットは、融資審査が厳しいことです。信販会社が融資審査を行うため、審査結果が通達されるまで数日程度かかります。したがって、即日融資を希望したい方には不向きです。
向いている人
- 少しでも低い金利で融資を受けたい方
- ローンで商品購入を検討している方
- カード不正利用やフィッシング詐欺に不安を感じる方
ノンバンク(3)ビジネスローン会社
ビジネスローンとは、事業資金専用ローンをいいます。申込可能な方は法人経営者または個人事業主です。新規事業資金・設備投資資金・運転資金・取引先への支払資金などに利用できます。融資基準や金利、融資限度額はサービス提供会社に応じて異なります。
メリット
ビジネスローンのメリットは総量規制(法律により借入金額の上限が定められること)の例外に該当することです。消費者金融は総量規制の対象となり、年収の1/3程度しか借りられません。
しかし、総量規制の対象外となるため、他の資金調達方法より多額の資金が借りられます。また、無担保・無保証人で申し込みができることも魅力となっています。
デメリット
ビジネスローンのデメリットは、銀行融資の審査に影響が出ることです。ビジネスローンは法人経営者または個人事業主が申し込めるローンです。ローンを借りた場合は、決算書に借入先を記載しなければいけません。そのため、新たに金融機関から融資を受ける場合、審査に影響が出てしまうため気をつけてください。
向いている人
- 事業資金の融資を希望している方
- 多額の資金を借りたい方
- 金融機関の融資審査に影響が出ても問題がない方
ノンバンク(4)リース会社
リース会社を利用すれば、機械や設備、自動車を導入する際に毎月一定の支払いだけで済みます。一度に機械や設備の購入資金を用意せずに済むため、便利な資金調達方法として認知されています。
メリット
リース会社のメリットは、設備導入時に多額の資金が不要になることです。毎月一定額を支払う契約のため、手元資金がなくても設備投資ができます。所有権移転外ファイナンス・リースに関しては、中小企業での税務処理は「中小企業会計指針」によって、賃貸借処理(オフバランス)が可能です。
(※他方の所有権移転外ファイナンス・リースでは、リース期間が終わりリース料を全額支払っても、所有権はリース会社に残ります。リース取引といえば通常、所有権移転外ファイナンス・リースのことを指します。)
デメリット
一括購入に比べ、総支払額が高くなります。また、リース契約は中途解約できない点について気を付けてください。設備導入時に所有権まで移転はしてもらえません。そのため、リース契約終了時は設備をリース会社に還さなければいけません。
向いている人
- 初期費用を抑えて設備導入をしたい方
- 耐用年数に応じて適切に設備を利用したい方
ノンバンク(5)銀行系ローン会社
銀行系ローン会社とは、メガバンクや地方銀行などの金融機関が個人に対して提供しているカードローンです。金融機関が提供するカードローンのため、安心して利用できます。
メリット
カードローンを活用すれば、担保や保証人を用意せずに融資が受けられます。また、融資の利用目的が問われないため、事業資金としても生活資金としても活用できます。契約時に設定される利用限度額の範囲であれば、いつでも自由に借入ができることもメリットです。
デメリット
金融機関のカードローンは融資審査に時間がかかります。そのため、最短即日の融資を希望する方には不向きです。また、銀行が指定した日に一定額を支払わなければいけないなど、返済方法の自由度も低いです。
向いている方
- 金融機関の融資サービスを利用したい方
- 事業資金と生活資金を借入したい方
- 返済方法の自由度が低くても問題がない方
まとめ
金融機関の融資と比較すると、ノンバンクは金利が高くなり総返済額が大きくなります。そのため、借入を希望する場合は注意して活用しましょう。しかし、ノンバンクは以下のような場合に最適な融資方法です。
- 実績が少なくて厳しい融資審査に自信がない場合
- スピード感のある融資を求めている場合
- 事業資金と生活資金を同時に借りたい場合
そのため、金融機関の融資とノンバンクの違いを把握して有効活用していきましょう。