近年、上場企業へ投資をする場合にチェックされている指標があります。それが、MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が公表している「MSCI ACWI Sustainable Impact Index」です。この指標が示す役割は何なのでしょうか?なぜ、注目を浴びているのでしょうか?
今回は「MSCI ACWI Sustainable Impact Index」について解説します。ぜひ、安定した経営をするためのヒントにもなるため、最後まで記事を読んでみてください。
MSCI ACWI Sustainable Impact Indexとは
MSCI ACWI Sustainable Impact Indexとは、米国の金融サービス企業MSCI社が公表している指数の総称をいいます。国連で採択された持続可能な開発目標SDGsに貢献した企業を評価するものです。
MSCI ACWI Sustainable Impact Indexの付与基準
MSCI ACWI Sustainable Impact Indexは、17の目標から成り立つ持続可能な開発目標を
- 基本的ニーズ(貧困、飢餓、社会福祉)
- エンパワーメント(ジェンダー平等、不平等の解消、教育)
- 気候変動(再生可能エネルギー、クリーンエネルギー)
- 自然資源(責任ある消費と生産)
- ガバナンス(パートナーシップ)
の5つのテーマに分類し、これらに貢献する製品やサービスの売上を調査して評価しています。企業売上の50%以上が、SDGsに取り組んだ製品やサービスである場合に、MSCI ACWI Sustainable Impact Indexが付与されます。
MSCI ACWI Sustainable Impact Indexの結果
MSCI ACWI Sustainable Impact Index の調査対象は世界で8,500社。MSCI社に選定された企業を国別に分類すると以下のようになります。
[MSCI ACWI Sustainable Impact Indexの企業比率]
- アメリカ:40.59%
- フランス:12.17%
- 日本:7.63%
- デンマーク:6.44%
- イギリス:5.83%
この結果から、アメリカやフランスの企業でSDGs向けのサービスが開発されていることが分かります。
MSCI ACWI Sustainable Impact Indexに注目すべき理由
MSCI ACWI Sustainable Impact Indexを参考にすれば、持続可能な目標SDGsに取り組んでいる企業を知ることができます。しかし、企業のSDGsの取り組み方法は、なぜ必要になるのでしょうか?ここでは、MSCI ACWI Sustainable Impact Indexに注目すべき理由をご紹介します。
安定した成長が見込める企業を知れる
MSCI ACWI Sustainable Impact Indexを確認すれば、その企業がSDGsにどれだけ貢献できているかが把握できます。
SDGsに取り組む企業は、顧客や取引先などステークホルダーに対して好印象を与えることができ、それによるビジネス機会が得られることが大きな特徴です。そのため、MSCI ACWI Sustainable Impact Indexを確認すれば、安定した成長が見込まれる企業がわかります。
安定企業の特徴を理解してアプローチし取引できれば、恩恵が受けられるでしょう。
投資配分の指針にできる
ビジネス&持続可能開発委員会の見解によると、持続可能な目標SDGsに関連するビジネスに取り組めば、2030年までに、少なくとも12兆ドル(約1,500兆円)のビジネスチャンスが世界中で生まれると試算されています。
SDGsに取り組む企業に投資をすれば、安定した利益が得られるかもしれません。
MSCI ACWI Sustainable Impact Indexは、投資家が確認しており、投資配分の指標となっています。そのため、投資で利益を得たい場合の指標にするとよいです。
先進企業の動向を知れる
MSCI ACWI Sustainable Impact Indexの指標を確認しておけば、先進国のSDGsへの取り組み方、動向が確認できるようになります。中小企業も、SDGsに取り組んでいかなければいけませんが、17の目標が定められており、どこから手を付ければよいか悩んでしまうこともあるでしょう。
このような場合、MSCI ACWI Sustainable Impact Indexの高い企業の商品やサービスを調べれば、ヒントが得られます。また、投資家や投資機関は、どのような取り組みをしている企業に興味・関心を寄せているかが分かるようになることもメリットです。
MSCI ACWI Sustainable Impact Indexの選定企業3選
MSCI ACWI Sustainable Impact Indexの指標を確認すると、持続可能な目標SDGsへの取り組み方のヒントが得られます。実際に、MSCI ACWI Sustainable Impact Indexに選定されている企業は、どのような取り組みをしているのでしょうか?
ここでは、MSCI ACWI Sustainable Impact Indexの選定企業をご紹介します。
花王
- 車いすでも掃除できる掃除用ワイパー
- 目視ではなく触るだけでわかるシャンプー・リンスのボトル
- 片手で開閉できるキャップボトル
など、ユニバーサルデザインの商品開発に取り組んでいます。また、高齢者の方が安心して利用できる商品の軽量化にも取り組まれています。このような商品開発で、MSCIから高く評価されているのです。
旭化成
また、旭化成の社用車には、ドライブレコーダーが搭載されており、社員にエコ運転の啓発を促しています。このような取り組みは、持続可能な目標SDGsの「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「気候変動に具体的な対策を」に貢献しているとして選定されました。
Panasonic
パナソニックホールディングスは電機メーカーですが、電気が普及していない国の生活照明として使える、エネループソーラーストレージを開発しています。これらは、カンボジアの教育機関に使用されおり、持続可能な目標SDGsの目標である
- 貧困をなくそう
- ジェンダー平等を実現しよう
- エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
- 人や国の不平等をなくそう
- 気候変動に具体的な対策を
に貢献していると高く評価されています。
(参考資料:ZUU online「SDGs投資とは? 社会課題の解決と投資との密接な関係」)
まとめ
今回は、注目を浴びる投資指標「MSCI ACWI Sustainable Impact Index」について解説しました。この指標を確認しておくと、以下のようなメリットが得られます。
- 安定した成長が見込める企業を知れる
- 資本配分の指針にできる
- 先進企業の動向を知れる
これらを踏まえた上で、商品やサービスを開発するのも1つの方法です。今回は、MSCI ACWI Sustainable Impact Indexに選定されている企業の取り組みをご紹介しました。3社以外にも選定企業は存在するため、確認しながら経営のヒントにしてみてください。
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