日本政策金融公庫のビル外観

中小企業の資金調達方法の大辞典!どこよりも分かりやすく解説

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長引くコロナ禍で赤字に陥る企業が増えており、売掛債権を現金化して手元資金を確保する動きが強まるなど、中小企業の資金繰りが苦境に立たされています。

新型コロナウイルスで経営悪化した企業を支えるために、金融機関の貸出額は過去最高を記録。金融機関は、コロナ禍で積極的に融資を行ってくれました。その結果、金融機関は不良債権化リスクを抱え、今後は融資審査が厳しくなる恐れがあります。そのため、中小企業は金融機関の融資以外の資金調達方法についても理解を深めておきましょう。

この記事では、中小企業の資金調達方法について詳しく解説します。

資金調達に悩む中小企業の実態

考える男性ビジネスパーソン

まずは、中小企業の資金調達の実態について解説します。

資金繰りに悩む「中小企業」の現状

中小企業が融資を受ける主な理由は、手元資金を増やすためです。新型コロナウイルスで経営が悪化して資金繰りに悩む中小企業は増えました。

ゼネラルリサーチの調査結果では、資金調達方法に「金融機関からの融資や借入を活用している」と回答した企業は約5割。しかし、約2割の企業が「金融機関からの貸し切り・打ち切りに困っている」と回答しているのです。この調査結果からも、金融機関から融資が受けられずに悩む中小企業が存在することがわかります。

金融機関は中小企業の融資に厳しい

中小企業と大手企業を比較すると融資額が小さいため、投資後のスケールメリットが得られにくいです。そのため、金融機関は中小企業の情報収集や融資審査に積極的ではありません。得られる情報が少なくて、中小企業の融資に踏み切れなくなってしまうのです。このような金融メカニズムがあるため「金融機関はビジネスを理解してくれない」と感じてしまいます。

大手企業の資金調達方法との違い

大手企業と中小企業の資金調達方法を比較してみましょう。

大手企業は経営の安定性と企業の信頼度を活かして、金融機関から融資を得たり株式発行し資金確保ができたりします。中小企業は、大手企業のような資金調達方法は真似できません。先程、お伝えした金融メカニズムでもご説明しましたが、金融機関は中小企業の融資に厳しいです。そのため、金融機関以外の資金調達方法も理解しておく必要性があるのです。

中小企業の資金調達方法9選

お金の上にビジネスパーソンの悩むフィギュア

中小企業は金融機関以外の資金調達方法を把握しておくことが大切だと述べました。中小企業が活用できる資金調達には、どのようなものがあるのかを把握しておきましょう。ここでは、中小企業の資金調達方法をご紹介します。

借入

借入を活用した資金調達方法として「日本政策金融公庫」「銀行・信用金庫」「制度融資」「ノンバンク」があります。

・日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、国民生活金融公庫・農林漁業金融公庫・中小企業金融公庫を前身する政策金融機関です。金融機関の融資が受けにくい中小企業や零細企業、起業家の支援を積極的に行っています。民間の金融機関の補完的な役割を担っているのです。

中小企業は日本政策金融公庫との付き合いを持っています。売上規模5億円以下の企業であれば、低金利・固定金利で融資が受けやすくなることが、日本政策金融公庫の魅力です。

・銀行・信用金庫

銀行・信用金庫から融資を受ける場合は、企業信用力や返済能力が審査基準となります。

また、土地や建物、株式証券など担保の有無で融資審査の結果が左右されます。融資審査に合格できれば、低金利で融資が受けられるメリットがありますが、創業時の融資は受けづらいです。

さらに、資金繰りが悪化して手元資金のために資金調達をしたいという企業に融資はしてもらえません。

・制度融資

制度融資は、都道府県や市区町村の自治体が指定金融機関と連携して、中小企業の資金調達をサポートする制度をいいます。制度融資で金銭を貸してくれるのは金融機関です。金融機関は信用度の低い中小企業には簡単に融資してくれません。

そこで、自治体が金融機関に支払う預託金を融資資金にすることで融資が受けやすくなるという仕組みです。自治体が起業をサポートしてくれる制度です。 

・ノンバンク

ノンバンクは、銀行以外の金融機関のことをいいます。銀行は「銀行法」の法律が適用されていますが、ノンバンクは「貸金業法」という法律が適用されています。これらの法律は借入の際に気にしなくてもよいですが、借入上限額が定められています。

また、金融機関より資金調達がしやすい反面で、金利が高いというデメリットがあるため注意しなければいけません。

例えば、セゾンカードでおなじみのクレディセゾン社であれば、事業者向けの不動産担保ローンなど特化型の融資をサービスにしています。詳細は以下のバナーをご覧ください。

売却

売却を活用した資金調達方法として「ファクタリング」があります。

・ファクタリング

ファクタリングとは、売掛債権を買い取ってもらって資金調達する方法です。売掛金の回収期限前に現金化できるため、緊急で手元資金が必要な場合の資金調達手段として利用されます。ファクタリング会社が売掛債権を買取して現金化してくれますが手数料がかかります。 小規模の法人や個人事業主、フリーランスでも気軽に活用ができるケースが多いです。

(参考:「ファクタリングとは?」)

出資

出資を活用した資金調達方法として「ベンチャーキャピタル」「クラウドファンディング」「事業会社」があります。

・ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業など高い成長が見込める企業に対して出資を行う投資会社のことをいいます。ベンチャー企業に投資をして、成長後に株式や事業売却をして利益を得ることを目的としています。

ベンチャーキャピタルは投資をしてくれるだけではなく、より大きな利益が出るように経営支援をしてくれることが大きな特徴です。

・クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、インターネットを介して不特定多数の人から資金調達することをいいます。金融機関の融資審査を受ける必要がなく、手軽に資金調達ができる手段として知られています。手軽でテストマーケティングも実施できることが大きな特徴です。

その他

その他の資金調達方法として「補助金・助成金」があります。

・補助金(助成金)

補助金は、国が新規事業促進のための手段の一つとして実施しています。補助予算が組まれており、予算を超えた応募があった場合は、早期に終了してしまうため注意しなければいけません。

助成金は、厚生労働省が雇用増加や人材育成のために実施しています。業種や社員数など条件に合致していれば支給されるなど難易度が低いです。

補助金も助成金も返済義務は原則的に発生しないため、積極的に活用しましょう。

中小企業が資金調達を成功させる方法

ビジネスパーソンが手をかざす 中央には電球の絵

中小企業が資金調達を成功させるためには、次のポイントを押さえておきましょう。

最適な資金調達手段を選ぶ

自社に見合う資金調達手段を選ばなければ、成功確率が下がります。また、資金調達の相談先を間違えてしまうと、予想外に高金利の融資となり資金繰りが圧迫する事態となります。事業の特性でも最適な資金調達は変わるので注意してください。

例えば、損益分岐点に到達するまでのスピードが早い事業と遅い事業では、異なる返済計画を立てなければいけません。そのため、資金調達を検討する段階で計画を立てて、自社に見合う資金調達を考えることが極めて重要なのです。

信頼を得られる事業計画書を作成する

金融機関や投資家から信頼を得られなければ、融資や出資はしてもらえません。そのため、信頼を得るために緻密な事業計画書を作成しましょう。

貸借対照表や損益計算書などの決算書だけではなく、企業を取り巻く外部環境や内部環境についても記載しておくことをおすすめします。金融機関や投資家が知りたい情報を事業計画書に盛り込むようにしましょう。

 【事業計画書に記載したい内容】

事業概要、経営者の経歴、起業動機、経営理念、経営目標、事業内容、市場の成長性、自社の強み、人員計画、損益計算、実行計画書

金融機関や投資家との関係を構築する

金融機関や投資家との関係を構築しておけば、いざという時にサポートしてもらえます。経営者側はネガティブな情報は提供したくないという心理が働くでしょう。

しかし、金融機関や投資家側は事業の進捗状況を知りたいもので、透明性のある情報を定期的に報告してくれる企業を好みます。

定期的に状況報告をしておけば、融資の審査スピードも格段に上がるでしょう。そのため、資金調達が必要になった場合のみではなく、日頃から金融機関や投資家との関係は大切にしておきましょう。

プレゼンテーション能力を磨く

融資を受けるためには、事業の魅力を金融機関や投資家に伝えなければいけません。十分に説明できなかった場合は、プレゼンテーション能力が足りないと自覚しておいた方が良いでしょう。企業の強みを活かした戦略が相手に伝わるようにプレゼンテーション能力を磨きましょう。

融資を頼らない方法も検討しておく

資金調達に成功しても、経営する上で売上は伸ばしていかなければいけません。倹約の精神が足りなければ、資金が流れてしまうでしょう。そのため、安易に融資を頼ることなく、調達した資金で事業展開してください。融資を頼らずに経営していく方法を模索していくことが大切です。

参照:中小企業・小規模企業の資金調達方法|現状の課題と成功のポイントとは – 「金融ナビ」 powerd by 資金調達フリー

中小企業の資金調達に関する相談窓口

ビジネス街

中小企業の融資方法と資金調達のコツをご紹介しましたが、不安に感じた方もいるのではないでしょうか?不安に感じた方も資金調達に関する相談窓口が用意されているため安心してください。ここでは、中小企業の資金調達に関する相談窓口をご紹介します。

中小機構 中小企業政策の実施機関として支援をしている経済産業省傘下の独立行政法人

例)経営全般に関する相談ができる

商工会議所 地域の商工業の振興に注力している地域総合経済団体

例)地域限定の補助金や助成金の情報が得られる

日本政策金融公庫 民間金融機関の取り組みを補完して、事業に取り組む方々を支援する政策金融機関

例)創業時における融資の相談などができる

まとめ

今回は、中小企業の資金調達方法について解説しました。資金調達方法にはさまざまな方法があり、適切な方法を選ぶ必要があります。また、事業計画書を作成したり事業を魅力的に伝えたりしなければいけません。しかし、ポイントを押さえれば、経営に有効な低金利で多額の資金調達を実現することも可能です。

資金調達に関する相談窓口も存在するため、計画的な資金調達を実施しましょう。

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