世界的に「脱炭素人材」が不足している状況が指摘されています。国連環境計画の「グリーンジョブ教育に関するグローバルガイダンス」報告書(2021年)では、グリーン経済への移行が進むことで、2030年までに約6,000万人の新しい雇用が市場に生まれると予測されています。
日本国内においても、ESG(環境・社会・企業統治)やSDGs(持続可能な開発目標)に関連する人材への需要が急速に高まっています。本記事では、グリーンスキルを備えた脱炭素人材に焦点を当て、その役割と重要性について深掘りします。
脱炭素人材とは?
脱炭素人材とは、企業や組織が地球温暖化対策の一環として、温室効果ガスの排出削減を目指すために必要とされるスキルや知識を持った専門家を指します。これには、エネルギー効率の改善、再生可能エネルギーの導入、環境規制への適応、持続可能な業務プロセスの開発などが含まれます。脱炭素人材は、これらの分野での専門知識を活用し、企業が環境目標を達成するための戦略立案や実行を支援します。企業だけでなく、政府や非営利組織でも活躍が期待される重要な職種です。
脱炭素人材が活躍できる業界、職種は?
どのような業界で脱炭素人材が求められているのでしょうか?ここでは脱炭素人材が活躍できる業界や職種および脱炭素人材になるために必要なスキルについて解説します。
<脱炭素人材|グリーン成長戦略による需要>
経産省のグリーン成長戦略の概要では、2050年に向けて成長が期待される分野として以下の14を挙げています。これらの分野では脱炭素人材が求められており、今後さらに需要が増すといわれています。
■エネルギー関連産業
1.洋上風力・太陽光・地熱産業
今後のエネルギー関連取り組みとして、太陽光、風力、地熱エネルギーの開発と拡大がありますが、洋上風力、太陽光、地熱産業で求められる脱炭素人材の職種には以下のようなものがあります。
【技術開発・エンジニアリング部門】
- 洋上風力発電タービンや浮体式プラットフォームの設計エンジニア。
- 太陽光発電システムの設計・開発エンジニア。
- 地熱発電の掘削技術者や熱交換システムの設計エンジニア。
【プロジェクト管理部門】
- 各種プロジェクトを計画、実行、監督するプロジェクトマネージャー。
- 工事の進捗、コスト、スケジュールを管理する建設プロジェクトマネージャー。
【運用・メンテナンス部門】
- 設備の日常運用や定期的なメンテナンスを行う技術スタッフ。
- 故障や性能低下に対応するトラブルシューティング技術者。
- 環境科学者・サステナビリティ専門家
- 環境影響評価を行う専門家。
- 再生可能エネルギーの持続可能性を評価・改善するサステナビリティ専門家。
【法規制・コンプライアンス部門】
- 環境規制や産業規制に精通し、法的要件を遵守するためのコンプライアンスオフィサー。
- 政策や規制の変更に基づく戦略立案を支援する政策アナリスト。
【財務部門】
- 事業の経済性を評価し、投資決定をサポートする財務アナリスト。
- グリーンファイナンスやサステナブルファイナンスに関する専門知識を持つ投資アナリスト。
【セールス・マーケティング部門】
- 再生可能エネルギー技術の市場導入を推進するセールスエンジニア。
- 顧客や市場のニーズに合わせた製品の開発・マーケティングを行うプロフェッショナル。
これらの職種は、それぞれのエネルギー源の特性に合わせた技術知識とプロジェクト運営能力が求められ、特に新技術の開発と導入の際には重要な役割を果たします。各産業の成長と共にこれらの職種に対する需要も増加しています。
2.水素・燃料アンモニア産業
この事業で求められる人材の職種は、主に以下が挙げられます。
【エンジニアリング・技術スタッフ関連】
- 水素やアンモニアの生産、輸送、貯蔵設備の設計・構築に関わるエンジニア。
- 水電解装置や発電タービンの開発を担うエンジニア。
- 持続可能な技術解決策を開発する研究開発(R&D)スタッフ。
【運用管理部門】
- 設備の日常的な運用を監督し、効率的なエネルギー生成を確保するオペレーションマネージャー。
- プロジェクトの進行管理を行うプロジェクトマネージャー。
- 環境科学者・サステナビリティ専門家
- 環境影響評価を行い、持続可能性の高い運用方法を提案する環境科学者。
- 生物多様性や自然資源の保全に焦点を当てたサステナビリティアドバイザー。
法規制とコンプライアンス専門家】
- 法規制の変更に対応し、事業が規制を遵守するための戦略を立てるコンプライアンスオフィサー。
- 国際標準化プロセスに関与する法規専門家。
【商業開発とマーケティング部門】
- 新しい市場を開拓し、商業戦略を策定するビジネスデベロッパー。
- 製品の市場導入と顧客関係の管理を担うマーケティングとセールススタッフ。
【ファイナンス・リスク管理部門】
- 投資計画の策定や資金調達を担当する財務専門家。
- 技術開発や事業展開に伴うリスクを評価・管理するリスクマネージャー。
これらの職種は、新しい技術の開発、市場導入、運用の各段階において重要な役割を果たします。特に、持続可能なエネルギー源としての水素およびアンモニアの利用が増加するにつれて、これらの分野での専門知識を持つ人材の需要はさらに高まることが予想されます。
3.次世代熱エネルギー産業
次世代熱エネルギー産業、特に都市ガスのカーボンニュートラル化を目指す取り組みで求められる脱炭素人材の職種には以下のようなものがあります。
【エネルギーエンジニア】
新技術の開発や既存技術の改良に携わり、より効率的かつ環境に優しいエネルギー生成方法を実現します。
【システム開発者】
分散型エネルギーシステムやデジタル技術を用いたエネルギー管理システムの開発に従事します。
【プロジェクトマネージャー】
エネルギープロジェクトの計画、実行、監督を行います。
【持続可能性アナリスト】
エネルギーシステムの持続可能性評価を行い、政策提案や改善策を策定します。
【サプライチェーンマネージャー】
低炭素技術のための国内外のサプライチェーンを管理し、コスト効率と持続可能性を最適化します。
【規制コンプライアンス担当】
新しい規制や基準に基づいて企業の運営を調整し、法的要求事項を満たすための戦略を策定します。
これらの職種は、技術的な専門知識だけでなく、新しい技術の商用化に向けた戦略的な思考や、多様なステークホルダーとの協調を要求されることが多いです。
4.原子力産業
原子力産業での脱炭素人材として求められる職種は多岐にわたりますが、特に以下のような専門職が重要です。
【核工学者】
原子力発電の設計、運用、保守に関わる専門家であり、高度な技術と安全性を確保するための知識が求められます。
【安全性分析専門家】
原子炉や関連施設の安全性評価を行い、リスク管理と事故防止策の開発を担います。
【水素製造技術者】
高温ガス炉を利用した水素製造プロセスの開発や運用に関わる技術者。
【核融合研究者】
核融合技術の研究開発を進める科学者や技術者で、ITERプロジェクトなどの国際協力プロジェクトに参加します。
【放射線管理技術者】
放射性物質の安全な取り扱いと廃棄物管理を専門とする職種。
これらの専門家は、原子力がカーボンニュートラルなエネルギー源としての役割を担うために、技術的な解決策の開発や運用に不可欠です。
■輸送・製造関連産業
5.自動車・蓄電池産業
自動車と蓄電池産業における脱炭素人材が関わる職種には、以下のようなものがあります。
【電動車開発エンジニア】
電動車の設計、開発、テストに従事し、より効率的で環境に優しい車両の設計を行います。
【蓄電池技術者】
バッテリーテクノロジーの開発と最適化を担当し、性能の向上とコスト削減を目指します。
【インフラ技術者】
電気自動車(EV)充電ステーションや水素燃料ステーションの設計、構築、維持管理を行います。
【サステナビリティマネージャー】
企業のサステナビリティ戦略を策定・実行し、環境への取り組みを全社的に推進します。
【供給チェーンスペシャリスト】
環境影響を考慮した供給チェーン管理と、持続可能な材料の調達を担当します。
【データ分析専門家】
蓄電池や電動車の性能データを分析し、製品改善に役立てるインサイトを提供します。
これらの職種は、技術革新や新たなビジネスモデルの創出を通じて、自動車業界の脱炭素化に寄与する重要な役割を果たします。
6.情報通信産業
半導体・情報通信産業で求められる脱炭素人材の職種は、次のような分野にまたがります。
【半導体エンジニア】
次世代パワー半導体の研究開発を担当するエンジニア。特にGaNやSiCなどの新素材に関する知識が求められます。
【データセンターエンジニア】
グリーンデータセンターの設計や運用に関わる専門家。省エネ技術や光エレクトロニック技術の適用に習熟している必要があります。
【エッジコンピューティング開発者】
エッジ側でのデータ処理技術を開発するエンジニア。センサー技術や省エネ情報通信インフラの開発が主な職務内容です。
【研究開発マネージャー】
研究開発プロジェクトを管理し、新技術の商用化をリードするポジション。プロジェクトマネジメント能力と技術的背景が必要です。
【サステナビリティコンサルタント】
企業が脱炭素化目標を達成するための戦略策定や実行支援を提供する専門家。
これらの職種は、脱炭素化を進める技術の開発から、その実装や運用に至るまで、広範なスキルと専門知識が求められます。
7.船舶産業
船舶産業における脱炭素人材として求められる職種には以下のものがあります。
【環境エンジニア】
新しい燃料システムや排出削減技術の開発に携わる。
【システムインテグレーター】
水素やアンモニアなどの新燃料を用いた船舶システムの統合と最適化を行う。
【プロジェクトマネージャー】
ゼロエミッション船の開発プロジェクトや実証試験の管理を担当。
【研究開発(R&D)スペシャリスト】
水素燃料電池やバッテリー技術など、新たな技術の研究と開発を進める。
【規制コンプライアンスアナリスト】
国内外の環境規制に準拠した設計と運用を確保。
【サプライチェーンマネージャー】
環境に優しい材料と技術の供給チェーンを管理し、持続可能な調達を担う。
【サステナビリティコンサルタント】
環境影響評価と持続可能な船舶運用戦略の提案。
これらの職種は、船舶業界におけるカーボンニュートラルな運用と技術革新を推進するうえで中心的な役割を果たします。
8.物流・人流・土木インフラ産業
物流・人流・土木インフラ産業で活躍する脱炭素人材の職種は多岐にわたりますが、以下が主なものです。
【持続可能な都市計画家】
グリーンインフラプロジェクトや都市緑化プロジェクトを設計・管理し、環境に優しい公共空間の実現を目指します。
【交通システムアナリスト】
電動車や他の脱炭素交通手段の導入による効果を分析し、効率的な交通システムの構築をサポートします。
【脱炭素技術エンジニア】
水素燃料電池システムや電動推進システムなど、脱炭素技術を開発、導入します。
【環境規制コンサルタント】
企業に対して、環境政策の遵守や脱炭素化に向けた戦略策定を助言します。
【再生可能エネルギー専門家】
再エネ技術を空港や港湾などのインフラに適用する方法を開発し、導入を推進します。
これらの職種は、脱炭素社会への移行を促進するための重要な役割を担っています。
9.食料・農林水産業
食料・農林水産業における脱炭素人材として求められる職種は以下のようなものがあります。
【持続可能な農業技術者】
次世代の有機農業技術や他の環境に優しい栽培方法を開発・実施する技術者。
【林業管理専門家】
森林の持続可能な管理と再生に関わる専門家で、木材利用の最適化と環境保全をバランスよく進める。
【脱炭素化エンジニア】
農業機械や漁船の電化・水素化を進めるための技術開発に従事するエンジニア。
【生態系管理専門家】
ブルーカーボンプロジェクトや他の生態系に基づいたCO2吸収プロジェクトを監督・管理する。
【サステナビリティコーディネーター】
農林水産業のサステナビリティ目標に沿った戦略の立案と実行を担う。
これらの職種は、技術開発から政策立案、現場の実装まで多岐にわたり、それぞれが食料・農林水産業の脱炭素化に貢献する重要な役割を担います。
10.航空機産業
航空機産業における脱炭素人材の求められる職種は主に以下のようなものがあります。
【電動化技術開発者】
電池、モーター、インバーターなどの電動化関連技術の開発に従事するエンジニア。
【水素技術専門家】
水素燃料の取り扱いや水素燃料エンジンの設計に特化したエンジニア。
【新材料研究者】
軽量で耐熱性の高い新材料の開発や炭素繊維複合材のリサイクル技術の開発を行う研究者。
【航空機設計エンジニア】
環境に優しい設計の航空機を開発するための設計と評価を担当。
【インフラ技術者】
水素燃料や電動航空機の運用に必要な空港インフラの設計および改善を担当。
これらの職種は、航空機の電動化や水素利用の技術進展を支え、業界全体のカーボンニュートラル化を推進するために不可欠です。
11.カーボンリサイクル・マテリアル産業
カーボンリサイクルとマテリアル産業における脱炭素人材の主な職種は以下の通りです。
【研究開発エンジニア】
次世代材料や環境技術の研究、開発に従事し、新しい製品の創出を担います。
【プロセスエンジニア】
製造プロセスの改善、効率化、脱炭素化を進める役割を果たします。
【持続可能性アナリスト】
環境影響評価、持続可能性の指標分析、環境関連のリスク管理を行います。
【システム統合エンジニア】
複数の技術を組み合わせ、実用化に向けたシステムの統合や調整を行います。
【品質保証/品質管理エンジニア】
新材料や製品の品質標準を設定し、維持管理を行います。
これらの職種は、新技術の開発と商用化に向けて、技術的な知識と革新的なアプローチが求められるため、専門的な教育や研究経験が必要です。
12.住宅・建築物・次世代電力マネジメント産業
住宅・建築物と次世代電力マネジメント産業で求められる脱炭素人材の職種には以下のようなものがあります。
住宅・建築物
【省エネ建築設計者】
省エネ基準に準拠した建築物の設計と計画を担当。
【サステナブル建築技術者 】
新しい材料や技術を活用して、持続可能な建築を実現する技術者。
【建築法規専門家】
改正される建築基準や規制に関する専門知識を持つ専門家。
次世代電力マネジメント
【エネルギーマネージャー】
分散型エネルギーリソースを活用し、エネルギー供給と消費の最適化を図る。
【電力システムエンジニア】
次世代スマートグリッドやマイクログリッドの設計と管理を行う。
【市場分析担当者】
電力市場の動向を分析し、新しい取引機会を探求する。
これらの職種は、脱炭素化を推進し、持続可能な社会への移行をサポートするための重要な役割を担っています。
13.資源循環関連産業
資源循環関連産業で求められる脱炭素人材の職種は、以下のようなものが考えられます。
【環境エンジニア】
リサイクルプロセスや廃棄物処理技術の開発・最適化に関わる。
新しいリサイクル方法や廃棄物からエネルギーを回収する技術の研究開発。
【サステナビリティマネージャー】
環境持続可能性に関する企業戦略の策定と実行。
プロジェクトの持続可能性評価やリサイクル技術の社会実装を監督。
【材料科学者】
バイオプラスチックやリサイクル性の高い材料の研究・開発。
新しい材料の商業化に向けた技術開発とテスト。
【プロセスエンジニア】
リサイクル設備やプロセスの設計、効率化。
廃棄物からエネルギーを回収するシステムの構築と最適化。
【政策アナリスト】
リサイクル政策や資源循環に関する規制の分析と提案。
政府や企業に対する持続可能なリサイクル戦略の提言。
これらの職種は、リサイクル技術の高度化、資源の持続的な利用、環境負荷の低減などを目的としており、資源循環関連産業における脱炭素化に重要な役割を果たします。
14.ライフスタイル関連産業
ライフスタイル関連産業において、脱炭素化を推進するためには以下のような職種が求められます。
【気候科学者・環境シミュレーション専門家】
地球環境ビッグデータの収集、分析、モデリングに関わる専門家。これには、大気科学、気候変動、環境科学の知識が求められます。
【データサイエンティスト】
ビッグデータの解析やモデリング、特に環境データの解析に精通した専門家。データを活用して環境問題解決のための洞察を提供します。
【行動経済学者】
行動変容を促すナッジ理論やデジタル技術を利用したインセンティブ設計に関わる研究者。消費者の持続可能な行動選択を促す政策やシステムの開発に関与します。
【システムエンジニア / IT専門家】
電子化、自動化のプロセスを設計し、ブロックチェーン技術を含む新しい取引市場の開発に貢献する技術者。
【地域開発プランナー】
地域の脱炭素化を推進し、地域や国の環境政策を策定する専門家。地方自治体や地域コミュニティと協力して、環境友好的な開発プロジェクトを計画・実施します。
これらの職種は、脱炭素化に向けた多様なアプローチをサポートするための幅広いスキルセットと専門知識を必要とします。
総括すると、脱炭素人材は特に以下の分野で必要とされており、活躍が期待されています。
■再生可能エネルギー産業
太陽光発電、洋上風力発電、陸上風力発電などの事業開発、技術開発、施工管理。
■電力・エネルギー産業
電力トレーディング、電力系統管理、料金プランを含むサービス設計。
■サステナビリティ関連職
GHG排出量の可視化を行うサステナビリティコンサルタント、企業のCSO(Chief Sustainability Officer)、サステナビリティ・マネージャー、ESG担当。
■建設産業
グリーンビルディング、エネルギー効率の高い建築の設計、施工、管理。
脱炭素人材に求められるスキル
脱炭素人材に求められるスキルは何でしょうか。主に以下の能力が求められます。
■技術スキル
再生可能エネルギーやエネルギー効率の高い技術に関する専門知識。
■プロジェクト管理スキル
プロジェクトの計画、実行、監視を効率的に行う能力。
■解析スキル
データ分析能力や問題解決スキルを通じて、エネルギー使用の最適化や効率的なリソース管理を実現。
■コミュニケーションスキル
チーム内外のステークホルダーとの効果的なコミュニケーション能力。
■持続可能性に関する知識
環境法規、持続可能なビジネス戦略、ESG(環境、社会、企業統治)基準に関する理解。
これらの能力を持ち経験を積むことが、脱炭素人材としてのキャリアを築く上で重要です。
<グリーンスキルについて>
グリーンスキルとは、環境に配慮した持続可能な経済に貢献するために必要な技能や知識を指します。これには、再生可能エネルギー技術の開発、持続可能な建築の設計、資源効率の良い製造プロセスの導入、廃棄物管理、水質管理などが含まれます。グリーンスキルは、気候変動対策や環境問題の解決に重要な役割を担っており、これらのスキルを持つ労働力は、グリーン経済の成長に欠かせないとされています。
企業や組織においては、これらのスキルを持つ従業員が、環境に配慮した製品やサービスの開発、効率的な運営、持続可能な事業戦略の策定に貢献します。
脱炭素人材の育成|海外
一方でこれらのスキルを持つ人材は多くはありません。そのため、アメリカ、英国を始めとする諸外国には以下のような脱炭素人材の育成についての取り組みがあります。教育や研修プログラムにおいても、グリーンスキルの教育が増えており、将来的な職業市場における需要に対応しています。
■政府および民間の教育プログラム
英国のFuture Energy Skills Programmeのように、特定のグリーンスキルを教育するための継続的な訓練プログラムを実施。
■企業内トレーニング
企業が自社の従業員を対象に持続可能な技術と方法に関するトレーニングを提供。
■アカデミアとの協力
大学や研究機関と連携して、カリキュラムにグリーンスキルを組み込む。
脱炭素人材の育成|日本
日本にも脱炭素人材育成に関する取り組みがあります。日本では、政府と企業が脱炭素化を推進するために、以下のような育成施策を行っています。
■政府主導の取り組み
【グリーン成長戦】
日本政府は2020年に「グリーン成長戦略」を発表し、脱炭素化を推進するための具体的な産業政策を定めました。この戦略には、人材育成も含まれており、特に再生可能エネルギーや次世代モビリティ、エネルギー貯蔵技術などの分野での専門人材を育成することを目指しています。
【教育機関との連携】
政府は高等教育機関や専門学校と連携して、脱炭素化に必要なスキルを持った人材の育成を促進しています。例えば、大学のカリキュラムに持続可能な開発目標(SDGs)に関連したコースを設けることや、実践的な技術トレーニングを提供することなどが含まれます。
■企業主導の取り組み
【企業研修と教育プログラム】
日本の多くの企業、特にエネルギー、製造、建設業界の企業は、従業員に対してグリーン技術に関する研修や教育プログラムを提供しています。これにより、既存の従業員が新しい技術や方法を学び、業務に活用することができます。
【研修施設の設置】
技術者の育成を行うための施設を設置し、実際の設備を用いた実践的なトレーニングを提供しています。専門技術者を育成するのに役立ちます。
【産学官の連携|GXリーグ】
566社の企業が参加する「GXリーグ」は、産官学が協働してグリーントランスフォーメーション(GX)を推進するためのプラットフォームです。このリーグは、脱炭素化に向けた技術開発や人材育成、情報共有などを行うことで、全体としての脱炭素化を加速させることを目的としています。
これらの取り組みは、日本が2050年のカーボンニュートラル目標達成に向けて、必要な人材を確保し、育成するためのものです。
脱炭素人材が活躍している企業とは?
次に、脱炭素人材の育成に力を入れている企業およびこれら人材が活躍している企業の事例をご紹介します。
事例1 電力業|東北電力(株)&東北電力リニューアブルエナジー・サービス(株)
東北電力株式会社とその子会社である東北電力リニューアブルエナジー・サービス株式会社(東北電力RENES)は、風力発電設備メンテナンス技術者の育成を目的としたトレーニングセンターを、秋田火力発電所と能代火力発電所に分割して設置することを決定しました。この決定は、施設の将来的な拡張性と設置条件を考慮した結果です。具体的には、メンテナンス訓練施設を能代火力発電所に、安全基礎訓練施設を秋田火力発電所に設置します。この取り組みは、東北電力グループの「カーボンニュートラルチャレンジ2050」達成に向けた再生可能エネルギー開発の一環として、再エネ発電事業のライフサイクル全般にわたる人材育成を目指しています。
事例2 運輸業|株式会社ジェイアール東日本企画
株式会社ジェイアール東日本企画(以下jeki)は、環境省から「令和5年度地域脱炭素実現に向けた中核人材の確保・育成委託業務」の受託者として、以下の三つの主要な取り組みを通じて地域脱炭素を促進する役割を担っています。
<地域脱炭素に取り組む人材育成>
jekiは地方公共団体の職員を対象にオンライン基礎講座を提供しています。これには地域再エネ事業の基礎知識を学ぶ講座が含まれ、全5回のシリーズで夏期と冬期に開講されます。講座では、自治体が地域エネルギーに取り組むべき理由や、地域エネルギービジョンの設計、地域に合った再エネ導入方法などが教えられます。
<地域脱炭素に取り組む人材同士のネットワーキング>
jekiは地域脱炭素に関連するネットワーキングイベントを企画・実施しています。これらのイベントは、地方公共団体と経験豊富な民間事業者とをつなげることを目的とし、地域脱炭素の取り組みを相互にサポートするプラットフォームを提供しています。
<脱炭素の専門家を地域に派遣することによる地域人材の支援>
「脱炭素まちづくりアドバイザー」として、脱炭素に関する専門的な知見を持つ人材を地域に派遣します。これにより、地域の脱炭素化を主体的に推進する地方公共団体を支援し、地域脱炭素の実現を加速します。
これらの取り組みを通じて、jekiは地域脱炭素の加速と地域内での持続可能な再エネルギーの導入を促進しています。
事例3 食品産業|キューピー(株)
キューピー株式会社は、製造工程の効率向上、省エネ設備の導入、再生可能エネルギー(再エネ)の活用をグループ全体で推進しています。特に、キューピーの神戸工場とキタカミデリカでは、「オンサイトPPAモデル」を採用し太陽光発電を運用しており、2022年12月には関西電力からの再エネ電力供給と三井物産からの供給燃料を用いたJ-クレジットの購入によって、実質的に100%再生可能エネルギーへの切り替えを実現しました。
また、渋谷オフィスでは、ビル全体を二重ガラスで覆い断熱性を高め、高効率の空調機やLED照明を使用するなどの省エネ措置を取り入れています。これにより、建築総合環境評価システム「CASBEE」で最高ランクの総合評価Aを獲得しました。
キューピーグループは、創始者の中島董一郎の理念「食を通じて社会に貢献する」という考え方に基づき、環境と社会への責任を重視しています。この理念は、キューピーが脱炭素人材が活躍できる職場である理由を示しています。以下のポイントで詳しく説明します。
<サステナビリティへの取り組み>
キューピーグループは「2030ビジョン」と中期経営計画を通じて、持続可能な成長と環境への配慮を重要なテーマとして位置づけています。サステナビリティ基本方針に沿って、社会・地球環境への取り組みを強化しており、これには地球温暖化対策や資源の有効活用などが含まれます。
<具体的な取り組み>
キューピーグループは、食品残さの削減や再生PET樹脂ボトルの採用、マヨネーズ残さをバイオガス発電に活用するなど、具体的な環境配慮活動を行っています。これらの取り組みは、脱炭素技術の開発や運用に関わる人材にとって、有意義な活動の場を提供します。
<サステナビリティ目標の設定>
キューピーグループは、サステナビリティに関する具体的な目標を設定し、それぞれの目標に向けて取り組んでいます。これには、CO2排出量の削減やプラスチック排出量の削減などが含まれ、これらの目標達成には脱炭素人材の技術と知識が求められます。
<国連のSDGsに基づく活動>
国連の持続可能な開発目標(SDGs)に基づき、キューピーグループは食と健康への貢献や資源の有効活用など、多岐にわたる社会的価値の創出を目指しています。これにより、持続可能な社会の構築に貢献する脱炭素人材が活躍できる場が広がっています。
以上のポイントから、キューピーグループは脱炭素人材がそのスキルと情熱を活かし、環境負荷の低減や持続可能な社会の実現に貢献できる理想的な職場環境を提供していることがわかります。
またキューピーグループは、環境変動および持続可能な開発に関連する重要なイニシアティブへの参加と支持を通じて、企業の持続可能性への取り組みを強化しています。取り組みは以下の通りです。
■TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)
キューピーグループは2021年からTCFDに賛同し、TCFDコンソーシアムにも参画しています。TCFDは金融安定理事会によって設立され、気候変動に関連するリスクと機会を金融報告の中で透明にすることを目指しています。
■TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)フォーラム
2024年4月からTNFDフォーラムに参画しており、自然資本と生物多様性に関するリスクと機会の評価および開示のためのフレームワークの開発に貢献しています。
■経団連生物多様性宣言イニシアチブ
2024年からこのイニシアチブに賛同し、生物多様性の保全と持続可能な利用に関する取り組みを行っています。
■GPN(グリーン購入ネットワーク)
1996年からGPNに加盟し、環境負荷の低い製品やサービスの利用を通じて持続可能な社会経済の構築に貢献しています。
■RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)およびJaSPON
2018年からRSPOに、2019年からJaSPONに加盟し、持続可能なパーム油の生産と利用を支持しています。
■環境省ウォータープロジェクト
2022年から参加しており、健全な水循環の維持や回復を目的とした官民連携プロジェクトに貢献しています。
■環境省 プラスチック・スマートキャンペーンおよびCLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)
2020年から参加しており、海洋プラスチックごみの削減とプラスチック製品の持続可能な使用に向けた取り組みを支援しています。
■あふの環2030プロジェクトおよび食環境戦略イニシアチブ
2020年からこれらのプロジェクトに参画し、SDGs達成に向けた食と農林水産業のサステナビリティ向上に取り組んでいます。
これらのイニシアティブへの参加は、キューピーグループの環境に対する責任を果たし、持続可能なビジネス実践を推進するという同社のコミットメントを示しており、企業として脱炭素人材の活躍の場が存在しています。
事例4 家具製造業|オカムラ
オカムラグループは、持続可能な社会の構築という目標に向けて、環境に配慮したビジネス活動を展開しています。これにより、脱炭素人材が活躍できる場を提供していることが分かります。以下のポイントから、オカムラがどのようにして脱炭素人材に活躍の場を提供しているかを解説します。
■サステナビリティへの取り組み
オカムラはサステナビリティに基づく企業活動を重視しています。これには、地球環境への取り組みや責任ある企業活動が含まれ、従業員が環境に配慮した製品開発や運営に積極的に関与することが奨励されています。
■環境方針と長期ビジョン
オカムラは「GREEN WAVE 2030」という環境長期ビジョンを設定しています。これにより、サーキュラーエコノミーの推進、持続可能な自然資源の利用と保全、気候変動問題への貢献とカーボンニュートラルの実現を目指しています。これらの目標に向けての取り組みは、脱炭素人材にとって重要な活動の場となります。
■脱炭素技術への投資
オカムラは製品のライフサイクル全体で環境負荷の低減を図るために、再生可能エネルギーの利用拡大や省エネルギー対策など、脱炭素技術への投資を行っています。これにより、技術開発や運用に関わる脱炭素人材のスキルと知識が求められています。
■持続可能な社会の実現への貢献
オカムラは持続可能で人が活きる社会の実現をミッションとして掲げており、その達成のために社内外で協力し、様々な環境問題に取り組んでいます。このような取り組みは、脱炭素人材にとって意義深いキャリアを築くための絶好の機会を提供します。
オカムラのこれらの取り組みは、脱炭素人材が自身のスキルと情熱を活かし、持続可能な社会の実現に貢献できる理想的な環境を形成しています。
<R100に加入している企業>
脱炭素人材が活躍している企業として、R100に加入している企業が挙げられます。
RE100(Renewable Energy 100)は2014年にClimate GroupとCDP(旧称カーボンディスクロージャープロジェクト)によって立ち上げられました。目的は、気候変動対策の一環として、再生可能エネルギーの利用を促進し、温室効果ガス排出の削減を図ることです。
RE100に参加する企業は、定められた期限内に自社の消費電力を全て再生可能エネルギーから賄う目標を設定します。企業が再生可能エネルギーを選択する方法としては、自社での再生可能エネルギー生産、再生可能エネルギーの直接購入、再生可能エネルギー証書の購入などがあります。
このイニシアティブには、グーグル、アップル、フェイスブック、マイクロソフトなどの大手企業をはじめ、製造業、金融業、小売業など様々な業界の国際企業が参加しており、世界中で再生可能エネルギーの需要を増やし、エネルギー市場の変革を推進する役割を果たしています。
RE100に加入する企業は100%再生可能エネルギーを使用することを公約しています。この目標を達成するためには、持続可能なエネルギーソリューションの導入と運用に特化した技術や知識を持つ脱炭素人材の存在が不可欠であり、彼らの活躍する場があります。
RE100に参加している企業は、エネルギー管理、エネルギー効率化、再生可能エネルギー技術の導入、サステナビリティ戦略の策定など、様々な分野で脱炭素化に取り組んでいます。これらの企業は、グリーンテクノロジーやサステナビリティに関する先進的な取り組みを行っており、脱炭素人材にとっては非常に有益な職場環境を提供することが期待されます。以下にR100に加入している企業の事例をご紹介します。
事例5 キリングループ
キリングループは、日本企業の中で気候変動対策に先進的に取り組んでいる企業の一つです。以下にキリンの主な取り組みをご紹介します。
■長期的な目標設定を掲げています。
キリンは、京都議定書が採択された気候変動の第3回締約国会議(COP3)の時点から温室効果ガス(GHG)排出量削減の目標を掲げています。
■国際的なイニシアティブに参加しています。
【SBT(Science Based Targets)】
科学に基づく目標設定に基づいて温室効果ガス削減目標を設定し、国際社会からも認知されています。
【RE100】
100%再生可能エネルギーを目指す国際的な取り組みに加わり、持続可能なエネルギーの使用を目指しています。
【TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)】
気候関連財務情報開示タスクフォースに賛同し、気候変動リスクと機会の開示を進めています。
【TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)のパイロットケース公表】
2022年7月には、TNFDのパイロットケースとして、自社の環境報告書を通じて生物多様性への取り組みを世界で初めて発表しました。これは生物多様性に関連する金融開示の枠組みで、COP15でも注目されました。
これらの取り組みは、キリンが地球環境への影響を考慮しながら事業活動を行い、持続可能な社会の実現に貢献していることを示しています。また、キリンはこれらの取り組みを通じて、企業価値の向上と社会的責任の履行を図っています。
事例6 城南信用金庫
城南信用金庫は、2018年に国内金融機関としては初めてRE100に参加しました。城南信用金庫は2019年に目標を達成し、これは参加する国内企業の中でも初の快挙でした。
目標達成における主な手段として、バイオマス発電による電力があります。2019年1月から所有物件の電力供給にこの方法を採用し、消費電力の98%をカバーしています。残りの2%は、2019年5月頃から賃貸物件などで使用される電力をJ-クレジットを通じて賄っています。
城南信用金庫の運営規模については、本店と東京都全域および神奈川県の16市郡にある支店、事務センター1カ所、保養所1カ所を含む合計86の事業所があります。2018年度の電力使用量は1,004万キロワット時でした。
事例7 生活協同組合コープさっぽろ
生活協同組合コープさっぽろは、2016年に電力事業を開始し、2018年にはRE100に参加しました。これは北海道の企業や団体としては初めてのことです。
コープさっぽろの目標は、2040年までに事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーにすることです。その中間目標として、2030年までに60%を再生可能エネルギーで賄うとしています。
さらに、2021年12月1日からは、101店舗の電気を再生可能エネルギーに転換しました。これにより、事業活動で排出される二酸化炭素の量を年間約5.6万トン削減する計画です。これは一般家庭約1.8万世帯分の排出量に相当します。
事例8 小野薬品工業株式会社
小野薬品工業株式会社は、2020年にRE100に参加しました。同社は製薬業界の環境リーディングカンパニーを目指し、「脱炭素社会の実現」をスローガンに掲げており、2050年度までに温室効果ガスの排出量をゼロにするという野心的な目標を設定しています。
RE100への参加以前から、小野薬品は環境に配慮した取り組みを行ってきました。2003年度には本社ビルで、2015年度には水無瀬研究所で、そして2017年度には東京ビルで太陽光発電設備を導入しています。これらの取り組みに加え、現在も太陽光発電の導入を進めるとともに、グリーン電力証書やJクレジットの購入などを通じて、再生可能エネルギーの利用を拡大しています。
<日本のRE100加盟企業一覧(参加順 2024年6月現在 87社)>
日本のRE100に加盟する企業は現在87社になります。
1 株式会社電通
2 株式会社リコー
3 積水ハウス株式会社
4 アスクル株式会社
5 大和ハウス工業株式会社
6 ワタミ株式会社
7 イオン株式会社
8 城南信用金庫
9 株式会社丸井グループ
10 富士通株式会社
11 株式会社エンビプロ・ホールディングス
12 ソニー株式会社
13 芙蓉総合リース株式会社
14 生活協同組合コープさっぽろ
15 戸田建設株式会社
16 コニカミノルタ株式会社
17 大東建託株式会社
18 株式会社野村総合研究所
19 東急不動産株式会社
20 富士フイルムホールディングス株式会社
21 アセットマネジメントOne株式会社
22 第一生命保険株式会社
23 パナソニック株式会社
24 旭化成ホームズ株式会社
25 株式会社 髙島屋
26 株式会社フジクラ
27 東急株式会社
28 ヒューリック株式会社
29 株式会社LIXIL
30 楽天株式会社
31 株式会社 安藤・間
32 三菱地所株式会社
33 三井不動産株式会社
34 住友林業株式会社
35 小野薬品工業株式会社
36 BIPROGY株式会社
37 株式会社アドバンテスト
38 味の素株式会社
39 積水化学工業株式会社
40 株式会社アシックス
41 J.フロント リテイリング株式会社
42 アサヒグループホールディングス株式会社
43 キリンホールディングス株式会社
44 ダイヤモンドエレクトリックホールディングス株式会社
45 株式会社セブン&アイ・ホールディングス
46 株式会社 ノーリツ
47 株式会社村田製作所
48 いちご株式会社
49 株式会社熊谷組
50 株式会社ニコン
51 日清食品ホールディングス株式会社
52 株式会社 島津製作所
53 東急建設株式会社
54 セイコーエプソン株式会社
55 TOTO株式会社
56 花王株式会社
57 日本電気株式会社
58 第一三共株式会社
59 セコム株式会社
60 東京建物株式会社
61 エーザイ株式会社
62 明治ホールディングス株式会社
63 西松建設株式会社
64 カシオ計算機株式会社
65 野村不動産ホールディングス株式会社
66 株式会社 資生堂
67 株式会社オカムラ
68 株式会社T&Dホールディングス
69 ローム株式会社
70 大塚ホールディングス株式会社
71 インフロニア・ホールディングス株式会社
72 ジャパンリアルエステイト投資法人
73 LINEヤフー株式会社
74 森ビル株式会社
75 浜松ホトニクス株式会社
76 日本碍子株式会社
77 TDK株式会社
78 住友ゴム工業株式会社
79 HOYA株式会社
80 アルプスアルパイン株式会社
81 プライム ライフ テクノロジーズ株式会社
82 KDDI株式会社
83 株式会社アマダ
84 ダイビル株式会社
85 ユニ・チャーム株式会社
86 ソフトバンク株式会社
87 日本生命保険相互会社
これらの企業では、環境に優しい技術やサービスを通じて、業界の標準を引き上げ、市場での競争力を強化しています。
脱炭素人材になるためには?
脱炭素人材になるためには、関連する教育と技術的なスキルの習得が重要です。以下に、具体的な方法を紹介します。
■教育とトレーニング
【学位の取得】
環境科学、持続可能な開発、エネルギー管理、環境工学などの分野で学士号や修士号を取得することが役立ちます。
【専門の認定資格】
LEED認定(Leadership in Energy and Environmental Design)、認定エネルギーマネージャー(EMA認定センター|資格概要)など、専門的な認定資格を取得することで、専門知識と技術を証明できます。
■実務経験
【インターンシップ】
環境関連の企業や組織でインターンシップを行い、実務経験を積むことが重要です。これにより、理論を実際の業務に応用する方法を学びます。
【プロジェクト参加】
脱炭素プロジェクトや持続可能な開発プロジェクトに積極的に参加し、プロジェクト管理や技術実施の経験を積むことが推奨されます。
■持続的な学び
【業界の動向と技術の更新】
脱炭素化技術は急速に進化しているため、セミナーやワークショップ、オンラインコースなどを通じて最新の情報とスキルを常に更新することが必要です。
【ネットワーキング】
業界のイベントや会議に参加し、専門家のネットワークを構築することも重要です。これにより、新しい機会や情報にアクセスしやすくなります。
■ソフトスキルの向上
【問題解決能力】
複雑な環境問題を解決するための創造的なアプローチが求められます。
【コミュニケーションスキル】
多様な関係者と効果的にコミュニケーションを取り、提案や成果を明確に伝える能力が必要です。
これらのステップを踏むことで、脱炭素人材としての資格とスキルを身につけ、多様な業界で貢献することが可能です。
まとめ:急増する脱炭素人材へのニーズ
脱炭素人材がいかに多岐にわたる業界に必要不可欠であり、それぞれの分野でどのように活躍しているかが明らかになりました。国連環境計画が予測するように、2030年までには約6,000万人の新たな雇用が生まれる可能性があります。これは、エネルギー、建築、製造、運輸など、私たちの日常生活のほぼすべての面で持続可能な変革を推進する大規模な機会を示しています。
私たちの前に広がるのは、技術革新と環境持続可能性への道です。これからの世代が直面する最大の課題の一つである気候変動に対処するためには、教育と技能開発が鍵となります。各国がその戦略を強化し、より多くの脱炭素人材を育成することが求められています。
脱炭素化の取り組みは、ただ環境を守るだけでなく、新たなキャリアの機会を創出し、グローバル経済に新たな活力をもたらすことができます。そのためにも脱炭素人材の育成とその能力を最大限に活用することが不可欠といえます。
最後に企業が脱炭素人材を育成に取り組む際、助成金「人材開発支援助成金に事業展開等リスキリング支援コース」が利用できます。(参考:事業展開等リスキリング支援コース)
※参考文献
2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略 (METI/経済産業省)
風力発電設備トレーニングセンター(仮称)の分割設置について| 東北電力
脱炭素に取組む人材に関する総合的支援により日本全国の地域脱炭素を推進します!
資源の有効活用・循環 | サステナビリティ | キユーピー
「脱炭素ってうちの会社には関係ないんじゃないの?」
サステナビリティ情報 | 株式会社オカムラ
脱炭素経営と グリーン人材育成
https://spaceshipearth.jp/re100/
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世界的に不足する「脱炭素人材」とその育成の取り組み - 米国・英国を事例に
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