e-バイクの台頭がシェアリングビジネスとデリバリーサービスに与える影響とは

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電動アシスト付き自転車は、その利便性と快適性の高さから瞬く間に世界中で普及し、今では「e-バイク」の名前で広く知られています。

環境への負荷も小さいことから、次世代のモビリティ革命を牽引する存在としても注目されているe-バイクですが、シェアリングビジネスやデリバリーサービスとの融合によって、マーケットの開拓が進むことにも期待されています。

今回はそんなe-バイクがシェアリングビジネスや、デリバリーサービスに与える影響について、詳しく解説します。

e-バイクの現在

90年代に日本で世界初の電動アシスト自転車が登場して以来、e-バイクは世界各国で普及していきました。自転車よりも身体にかかる負荷が少なく、それでいてバイクや自動車に劣らない移動距離を有し、環境負荷も小さいことから、欧米圏でも広く利用されています。

e-バイク市場は巨大なグローバルマーケットへと変化しており、2026年までに250億ドル、日本円にして2.9兆円近い市場規模に到達するとされ、その動向に注目が集まっています。

参考:https://newscast.jp/news/0504624

従来のe-バイクは、巨大な外付けバッテリーが装着されていたり、バッテリーが切れた際の手動運転の負荷の大きさだったりが問題視されてきました。

しかし近年のe-バイクは改良が進み、スリムな内蔵バッテリーが搭載されたモデルや、150km以上連続で運転ができるモデルも登場するなど、確実な進化も見てとれます。自動車やバイクに代わる移動手段として、e-バイクは今後ますます社会に浸透していくでしょう。

活況を迎えるシェアリングビジネス市場

e-バイク市場の成長に合わせて、シェアリングビジネスについても右肩上がりの成長が見られます。一般社団法人シェアリングエコノミー協会の調査によると、シェアリングエコノミーの市場は2020年に過去最高となる2兆円規模に達し、2030年には14兆円を超えると期待されるなど、今後も更なる市場の拡大が予想されています。

参考:https://sharing-economy.jp/ja/20201210

シェアリングビジネスの活況を生んだ主な要因としては、CtoCサービスの拡大が挙げられます。フリマアプリや民泊仲介アプリ、各種レンタルサービスなど、個人が所有する既存の資産を有効活用するための流通経路が確保されたことで、シェアの循環が活性化されたためです。

ただ、CtoCサービスだけがシェアリングエコノミーを支えているわけではありません。近年では、BtoCでカーシェアやサイクルシェア事業を立ち上げる企業も増えてきており、消費者同士がシェアをすることを前提としたプロダクトの普及に努める形態だった一般消費のシェアを奪いつつあります。

シェアリングビジネスの最大のメリットは、一人当たりの消費者が抱える経済的負担などが小さい点です。一人で新車一台分のお金をまとめて用意することは難しくとも、手頃な価格で車を利用することができれば、たとえシェア用の製品であっても、高い満足度とニーズの解消を実現できます。

また、一人一人のために製品を大量生産する必要がなくなり、消費される量も少なくなるため、環境負荷も小さいという、SDGsの側面から注目されるケースも増えています。今後もシェアリングビジネスは拡大を続け、多くのサービス利用や商品の購入において、シェアの選択肢が拡大することとなりそうです。

e-バイクの台頭がデリバリーサービスに与える影響

シェアリングビジネスと同様に、新型コロナウイルスの拡大とともに活況を迎えたのが、デリバリーサービスです。「Uber Eats」を初め、個人でデリバリーサービスを提供できる仕組みが世の中に広く普及したことで、個人事業主として配達業に携わる人は格段に増加しました。

中でも食事の配送を行うフードデリバリーサービスでは最も参入人口が増え、マーケットの拡大が見られます。日本能率協会総合研究所が2021年に発表した資料によると、2019年には1,700億円だったフードデリバリー市場は、2025年には4,100億円にまで成長するとしており、急速に利用者と事業者の数が増加していることがうかがえます。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000035568.html

そんなデリバリーサービスをさらに勢いづける可能性があるとして、注目されているのがe-バイクです。自転車ほど体力を消耗せず輸送ができる上、原付バイクのような燃料補給の必要もないことから、個人の配送手段として広く普及すると予想できます。

e-バイクによるデリバリーサービスの更なる品質向上に向け、e-バイクのパイオニアでもあるヤマハは、2022年1月に新型e-バイクを発表しました。

セレクトショップ「FREAK’S STORE(フリークスストア)」とのコラボレーションによって、新たに発表されたコンセプトモデルは、一台がキャンプ仕様、そしてもう一台がデリバリー仕様という、近年のトレンドを強く意識したモデルに仕上がっています。

参考:https://motor-fan.jp/mf/article/37458/

e-バイク市場からも、デリバリービジネスに対して注目が集まっているのが、動向として読み取れます。

デリバリーサービスにe-バイクを活用するメリット

e-バイクをデリバリーサービスで活用することで、多くのメリットが期待できます。上記でも少しご紹介しましたが、改めてe-バイク活用のメリットを整理しておきます。

配達人の負担軽減に繋がり、サービス規模の拡大につながる

e-バイクをデリバリーサービスに採用することで、まず配達人の負担が格段に小さくなるというメリットが期待できます。これまで自転車で配達を行ってきた場合、自身の体力と相談しながらデリバリーを行う必要がありましたが、e-バイクであれば最小限のパワーで配達ができるため、体力や筋力を考慮しなければならないケースは少なくなります。

そのため、遠方への配送も時間内に終えられるのはもちろんのこと、スピーディーに配達が行えるので、短期間で複数の注文に対応でき、時間当たりの単価改善に繋がります。

デリバリー品質の向上につながる

2つ目のメリットは、デリバリー品質の向上です。自転車での配送は、坂道が多い場所などでは車体が不安定になりやすく、配達している食品に悪影響を及ぼす可能性があります。

しかしe-バイクであれば、車体を無理な体制に傾けることもなく配達ができるので、迅速に届けられるだけでなく、配達物を汚損する心配もありません。

燃料負担が小さい

原付バイクを配達に利用している人にとっても、いくつかの改善効果が期待できます。例えば燃料負担ですが、これは本体の性能にもよりますが、おおむねe-バイクの方が優れた燃費効率を実現しているので、燃料コストを抑えられます。

原付バイクにはガソリンの補給が必要ですが、e-バイクは自宅のコンセントにバッテリーを差し込み、充電ができます。燃料価格の高騰傾向にある原付バイクに比べて、e-バイクは価格が比較的安定している電力を使って走行できるので、その負担の違いは明らかです。

小回りが利く

原付バイクは、交通ルールが自転車に比べて細かく定められている上、ある程度車体が大きいため、器用な動きがしづらいのが難点です。

それに比べてe-バイクは、自転車と同様に小回りが利き、狭い小道でも配達が容易なため、走行ストレスを抱えることもありません。住宅エリアで配達を行っている人にとっては、優れた選択肢となるはずです。

e-バイクが利用できるシェアリングビジネスの登場

e-バイクは、通常の自転車よりも優れた運動性能を持っていますが、難点として、本体価格が高いという問題があります。最新モデルのe-バイクともなれば、40万前後の価格となることも珍しくなく、中古車やバイクが買えてしまう額に達します。

そんなe-バイクが抱える課題解消の糸口となるのが、シェアリングビジネスです。最近ではe-バイクの貸し出しやシェアを進めているサービスも次々と登場しており、リーズナブルな価格でe-バイクが利用可能です。

「ドコモ バイクシェア」や「HELLO CYCLING」”CycleTrip”など、首都圏を中心としながら全国的に展開しているサービスが登場するなど、今後の更なるシェア拡大に注目が集まります。

公式サイト:

https://docomo-cycle.jp/

https://www.hellocycling.jp/

https://cycletrip.jp/

これまでもシェアサイクルを利用したフードデリバリーに従事する事業者は少なくありませんでしたが、e-バイクシェアが普及すれば、さらなるデリバリー市場の拡大も進むでしょう。

まとめ:e-バイクとシェアリングビジネスの融合がデリバリーサービスに与える影響

本記事では、e-バイクがデリバリーサービスにもたらすメリットや、シェアリングビジネスがe-バイクの普及とデリバリーサービスの品質向上につながる可能性について、ご紹介しました。

e-バイクは優れた移動手段として「モビリティ革命」を起こすとも言われていますが、ネックとなるのは購入価格です。そこでシェアリングサービスを活用し、e-バイクの購入費用を削減できれば、初期費用を抑えて、e-バイクによる快適なデリバリーサービスの提供を進められます。

e-バイクのシェアリングサービスはまだ十分に普及していないものの、利用価値が高く、今後、更なる推進に注目したい分野です。