中小企業は優秀な人材を獲得するために、働きやすい職場を整備する必要があります。職場環境を整備するには、費用がかかることが中小企業が抱える悩みです。しかし、助成金を支給してもらえれば、少ない負担で働きやすい職場環境を整備できます。そのため、従業員満足度や優秀な人材の確保のために、働きやすい職場環境を整備していきましょう。
今回は、中小企業が育児休暇を取得させた場合に活用できる補助金をご紹介します。
育児休暇の助成金(1)両立支援等助成金
1つ目の補助金が両立支援等助成金です。両立支援等助成金は、労働者が育児休暇を取得しやすいように職場環境や業務体制を整備し、労働者に育児休暇を取得させた場合に支給される助成金です。両立支援助成金には「出生時両立支援コース」「育児休業等支援コース」の2つがあります。
出生時両立支援コース
男性労働者が、育児休業を取得しやすい労働環境を整備した中小企業に支給される助成金です。
対象条件
【第1種】
男性労働者が、育児休暇を取得しやすい雇用環境の整備を実施して業務体制の整備を行い、産後8週間以内に、連続5日以上の育児休業を取得させた中小事業主に支給される
【第2種】
第1種助成金を受給した事業主が、男性労働者の育児休業取得率を3年以内に、30%以上上昇させた場合に支給される
支給額
第1種
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育児休業取得 | 20万円 |
代替要員加算(※) | 20万円(3人以上45万円) | |
第2種 | 育児休業取得率30%以上上昇 | 1年以内に達成:60万円
2年以内に達成:40万円 3年以内に達成:35万円 |
(※)代替要員換算とは、男性労働者の育児休業期間中に代替要員を新規雇用した場合をいいます。
申請方法
下記の資料を揃えて、本社所在地を管轄する都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ提出してください。(※送付先は、両立支援等助成金の支給申請の手引きのP94を参考にしてください。)
【必要書類】
- 支給申請書
- 労働協約または就業規則の写し
- 育児休暇取得者へ指導した証拠書類(研修資料、掲示写真、メールの送信記録)
- 育児休業申出書の写し
- 育児休暇取得者の就労実績が確認できる書類
- 育児休暇取得者の雇用契約期間の有無が確認できる書類
- 育児休業に係る子がいることが確認できる書類
- 行動計画
育児休業等支援コース
育児休業の前後でも、働きやすい労働環境を整備した中小企業に支給される助成金です。
対象条件
育児休業等支援コースは、育児休業の円滑な取得、職場復帰のために①~④の取り組みを行った中小企業に支給されます。
① 育児取得や②職場復帰時に育児復帰支援プランを策定し、プランに沿って対象労働者の円滑な育児休業の取得に取り組んでいる
③ 業務代替支援:3ヵ月以上の育児休業終了後、育児休業取得者が現職に復帰する旨の取り扱いを就業規則等に規定しており、代替要員の新規雇用の手当支給を行い、かつ、休業取得者を現職に復帰させた
④ 職場復帰後支援:法を上回る子の監護旧制度や保育サービス費用補助制度を導入し、労働者が職場復帰後に6ヵ月以内に一定以上サービスを利用させた
⑤ 新型コロナウイルス感染症対応特例:小学校の臨時休業等により、子供の世話をする労働者のために特別休暇制度及び両立支援制度を導入し、特別休暇の利用者を出した
支給額
① 育休取得時 | 28.5万円 | 各2回まで
(無期雇用者・有期雇用者各1回) |
② 職場復帰時 | 28.5万円 | |
③ 業務代替支援 | 新規雇用:47.5万円
手当支給等:10万円 |
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④ 職場復帰後支援 | 28.5万円 | 看護休暇制度1,000円(1,200円)×時間
保育サービス費用 実支出額の2/3補助 |
⑤ 新型コロナウイルス感染症対応特例 | 1人あたり5万円※10人まで |
申請方法
下記の資料を揃えて、本社所在地を管轄する都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ提出してください。(※送付先は、両立支援等助成金の支給申請の手引きのP94を参考にしてください。)
【必要書類】
- 支給申請書
- 面談シート
- 育児支援復帰プラン
- 育児休暇取得者へ指導した証拠書類
- 研修資料、掲示写真、メールの送信記録
- 就業規則と労使協定
- 労働条件通知書
- 育児休業申出書
- タイムカードと賃金台帳等
- 母子手帳
- 一般事業主行動計画
(参考資料:厚生労働省「仕事と家庭の両立支援に取り組む事業主等のみなさまへ」)
育児休暇の助成金(2)小学校休業等対応助成金
2つ目の補助金が、小学校休業等対応助成金です。小学校休業等対応助成金とは、新型コロナウイルス感染症に関する対応として学校が臨時休業した場合に、保護者に有給休暇を取得してもらえる環境を整備した場合に支給される助成金です。
学校の臨時休業や放課後児童クラブ、保育所の利用を控えるような依頼があった場合に、育児休暇を取得してもらえるように活用するものです。
対象条件
小学校休業等対応助成金の対象者は、以下に該当する労働者(親権者、未成年後見人、里親、祖父母)に有給休暇を取得させる事業主です。
【労働者の条件】
- 子供が通う小学校が新型コロナウイルス感染症に関する対応で臨時休業した
- 子供が通う小学校で学級単位の休業や分散登校をしなければいけない
- 子供が新型コロナウイルスに感染して小学校を休まなければいけない
- 子供が新型コロナワクチン接種を受けるため付き添いをしなければいけない
- 放課後児童クラブや保育所から利用を控えるような依頼を受けた
(※障がいを抱える子供を育てている場合は、中学校や高等学校も該当します。)
支給額
小学校休業等対応助成金の補助金額は「日額換算賃金額×有給休暇の日数」です。しかし、上限金額が定められており、労働者の賃金が上限を上回る場合には、事業主が労働者に対して残額を支払わなければいけません。
休暇取得期間 | 日額上限額 |
令和4年1月1日~3月31日 | 令和4年1~2月:11,000円
令和4年3月:9,000円 |
令和4年4月1日~6月30日 | 9,000円 |
申請方法
下記の資料を揃えて、本社所在地を管轄する都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ提出してください。
- 支給申請書
- 有給休暇を取得したことが確認できる書類(休暇申請書、出勤簿、タイムカード)
- 有給休暇について年次有給休暇の場合と同等の賃金が支払われたことが確認できる書類(賃金台帳、給与明細の写し)
- 通常の賃金が確認できる書類(賃金台帳、労働条件通知書)
- 所定労働美や所定労働時間が確認できる書類(雇用契約書、労働条件通知書、勤務シフト表、就業規則等の写し)
- 申請日時点において1日以上勤務している労働者であることが確認できる書類(労働条件通知書、出勤簿、タイムカード)
- 振込口座が確認できる書類(通帳のコピー、キャッシュカードのコピー)
- 小学校で臨時休業があったことを証明できる書類(小学校等からの臨時休業等に係るお知らせなど)
- 雇用保険適用事業主ではない場合は労働者災害補償保険に加入していることが確認できる書類(労働保険関係成立届の事業主控え、概算保険料申告書)
(参考資料:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金について」)
まとめ
中小企業が、労働者に育児休暇を取得させた場合に活用できる助成金として「両立支援等助成金」と「小学校休業等対応助成金」があります。これらの助成金を活用すれば、育児をしている労働者に満足してもらえる職場環境が作れるでしょう。
しかし、助成金を申請するための手続きは複雑で大変です。そのため、育児取得に活用できる助成金を活用したいけれど、手続きが分からないという方は、株式会社ベリーグッド社までご相談してください。お客様の代わりに補助金手続きを担当させていただきます。